心霊なんでも相談室

”相談事例16”



今回のご相談者は45歳になられる隣県にお住まいの方である。

お仕事は夜の町でスナックを営んでいると言う。

ご相談内容は、何をしても何も上手くいかない、どうしてでしょうか?

と言う事なのである。

”何をしても、何も上手くいかない”この言葉の真意はなんだろう。

ただ単に、言葉の彩として”何をしても、何も上手くいかない”と言っただけの事ではないのだろうか?

何も、の中に見え隠れする不安、、、、感は一体ナニを指すのであろうか。

・・・・まぁ私としては”上手くいかない”とだけ聴けばそれだけでいい。

上手くいく、いかない、の理由など人生相談を担当している訳ではないので、私にとって聞く必要がないのである。

ただ、意を決して当相談所まで態々お見えになられたと言う事はそれ相当の深い悩みがある、と受け取れる。

最早、自分自身では解決できない程の精神状態にまで陥った、と見てもいいのではないだろうか。

解決出来無いとは、ナニがそのような訳の分からない状態に貶めていると云うのだ。

ただ、不安と恐れ、を感じていはいるのだが、言葉に出す形容詞がみつからないのだろう。

今日まで自分自身の心の中でナニカが毎日毎日ざわつき不安を煽られていたのだ。

では、そのナニカの正体を探るとするか。

それにはご相談者のお名前を呼び私の中にナニが入ってくるのか、を確かめて見れば直ぐに分かる事だ。

ナニカの正体、と記したがナニカは言わずと知れた前世の因縁に間違いはない。

では、ご相談者のお名前を呼び、ご相談者の魂を捕らえている前世の因縁を私の中に呼び込むとしよう。

「宮古素直(仮名)入って来い、宮古素直入って来い!!」

とご相談者のお名前を呼ぶ。

するとご相談者の魂ではないナニカが直ぐに入って来た。

その入って来たものに、お前は誰だ!宮古素直か?と聴くが無視をする。

それで、お前に天罰をかけるぞ!と云うと

「ウルセー!!ナニがミヤコか、テンバツとは?お前はナニモノか」

「我か、我は宇宙総帥と云う神じゃ」

「カミ?こしゃくな!!」

「なに!!」

と言って即座に念を入れる。

すると

「ヤヤヤ、ヤヤ、ヤメテ、ヤメテクダサイ」

「ヤメテクダサイだと、今何と言ったのだ、コシャクナだと」

「イエイエ」

「我が神じゃと云ったらお前は信用しなかったな」

「いえ、まさかほんとうの神様だとは思いませんでしたから」

「では、お前に聴きたい事がある。今、宮古素直を呼び出したらお前が出てきたなぁ」

「さ、さようでございます。いえ私何事が起きたのかと思って、出てみたら突然今、カミナリが落ちてきましたので」

「それが天罰と云うやつだ。お前は宮古素直に憑いているヤツだな」

「つ、憑いていると言うものではございません」

「憑いているものでなくてなんだ、お前は復讐をしているのだろう」

「そうそう、さようでございます」

「では、なぜお前が復讐をしているのか聴きたい。お前は前世では何をしていたのだ」

「わわ、わたしは百姓でございました」

「百姓か」

「さようでございます」

「では、この宮古素直は何をしていたのだ」

「これは庄屋のバカ息子でございました」

「なに、庄屋のバカ息子だったのか」

「さようでございます」

「では、お前はこのバカ息子(失礼)の性格は知っているのか?」

「お前、百姓なら庄屋に養ってもらっているのだろう?その庄屋の息子なら性格は知っているだろう」

「養って貰ってる?養うのは私たちが養っているのですよ、私たちが作物を作って庄屋様に収めて、そこから年貢に行く訳でございますから」

「そらそうだな、我の間違いだ。ところでお前は宮古素直の性格は知っているのか?」

「セイカクでございますか?性格と云うのは、まぁハッキリ言って、この男は割と粗暴な男なんですよ」

「粗暴な男か?」

「さようでございます・・・なんと云うのか、もうちょっと何かあったら直ぐもう踏んだり蹴ったりするのですよ、私たち百姓を」

「そうか、お前たちは踏んだり蹴ったりされていたのか」

「さようでございます・・・もう何か知らんがまぁ、名主の息子さんだから私たちは頭を下げておりますが、もう少しでも年貢を収めるのが、まぁ私たちの時代は雨ばっかし降ったり、もう日照りばっかしで作物が殆ど取れないものでございますから、どうしても収めるものがありません・・・その度に名主様のところに逝って、すみませんすみませんと頭を下げ、その事を名主様に云ったら、名主様は割と、分かっている、分かっているこんな天候ではのう、作物が取れないのは分かっとる分かっとる、心配するな、ワシがお代官様のところに逝ってのう、年貢をのうちょっと免除してもらうから心配するな、そんな事心配でもいいぞ、と名主様は言ってくれるのですよ、だけどこの素直と云うバカ息子は、のうお前たちは百姓のくせにして何も出きんで、なーんも持ってこんとはどう言う事か!お前たち、なーんも出きんのだったら山に逝って山芋でも鹿でもイノシシでも獲って来い!そしてうちに持ってくるのが当たり前じゃろうが、と言って、もうそらもう許さんのですよ、ですからもう性格と云えば、まぁホントに粗暴と言うのですかねー、もう一度言いだしたらきかない性格なんですよ」

「そうか、では少し待っておれ」


『宮古さんは粗暴と言っていますが、如何ですか、ご自分の性格は?』

<その通りです>

『その通りですか?』

<・・・はい、私は粗暴でわがままで一度言いだしたらきかないですね>

なぜご相談者の性格を聴くのか、と云えばご相談者が間違いなく自分に憑いているものである、と確信出来るようにするため。


「おい、お前がこの宮古に憑いていると言う事は、宮古から殺されたと云う事か」

「そう、さようでございます・・・もうホントにこの男は一回切れたら大変ですよもう、誰でも彼でももう踏んだり蹴ったりでございますよ、そーら通常の名主のボンボンとか息子さんとか云えば割と温和な人が多いのですが、この男だけはもう、ですから近在の村の百姓たちまで、お前のところは大変じゃのうーあげなオマエ、名主の息子が居ったら、お前たち安心して百姓も出来んのうー、ほんと大変なこっちゃのうー、と言って私ら近在の百姓からも、このバカ息子の評判の悪さは名が通っていたのですよ、そしてこの男はもうちょっとでも金が出来れば直ぐ町にパーッと繰り出して、そしてもうどんちゃん騒ぎですよ、私ら百姓は喰うものもないで、毎日毎日草を喰ったり、山芋も掘るのですが、山芋だってねんじゅ喰えるだけありませんよ、喰うものがなくなったら木の根でも何でも喰えるものは手当たり次第喰って、そうして凌(しの)いでいるのに、このバカ息子だけは自分は名主の息子じゃ、と言う事で、まぁ名主さんだから金子の蓄えはあるのでしょうが、もうちょっとなんかあったらすぐ町に若い衆、まぁ町のチンピラと仲がいいと云うのかグルになってと云うのか、ほんともう、そんな感じでやりっぱなしでございましたから、ですから私なんかも皆で、このバカ息子の事で名主さんとこに陳情に行ったのですよ、もうこんなに私なんか殴られたり踏んだり蹴ったりされちゃ、もうここの百姓はできません、もうこの村から出ますよ、なんとかして頂けないでしょうか?と名主さんに云ったら、名主さんがこのバカ息子に言ったのでしょう、なんとかせんかー!と言ったのでしょう、そしたらこいつが来て、夜中ですよ、夜中に来て、私らが寝込んでいる夜中にチンピラ連れて来てですよ、戸をどんどん蹴破ってですねー、もう私の頭を掴んでからガンガンガンガン引きずらして木刀で、もう何人もの奴らから殴られて殴られて殴り殺されたんですよ、もう腹が立って、気が付いたらこっちに来ておりまして、もうなんでワシたち百姓が、そりゃ野菜が取れん、なーんも取れん、こげー雨が降って日照りが続いたらなーんも作物が取れんのに、なぜ名主のバカ息子に殺されんといけんのか、と思って、それから私こやつにとり憑いているのですよ、もう腹が立っていまでも体中が痛いしもう、頭はガンガンガンガンするし、時々耳鳴りもするし、もう体中がガタガタになって、こっちに来ても未だにキズが癒えませんよ、もう歩くのも歩けないですよ 、足がガクガクして歩けないんですよ」

「そうか、ところでお前が殺されたのは夏だったのか冬だったのか、いつ頃だったのだ」

「私が殺されたのは春・・・夏?・・・うーん私が殺されたのはまだ肌寒かった時ですから・・・うーん冬で、ひと雪降って、そして作物を色々せんといかんなーと言う時で、雨がふったり・・・ああそうかあの時はもう日照りがずーっと続いていたのか、そうそう日照りがずーっと続いていて、もう作物も全く取れないし、なんじゃかんじゃ言っていたときこのバカ息子に殺されたんですよ、だから殺されたのは私だけではないのです・・・やっぱー村の何人かやっぱーやられてますよ、だけど私が一番憎かったんでしょうねー、私は皆から木刀で殴られ踏んだり蹴ったりされて、挙げ句の果てにこいつたちは私に、死にかかっている私に小便を引っ掛けたのですよ、こげな屈辱的な事はありますか?幾ら名主のボンボンであれ私ら百姓がいて初めて名主と言うのは成り立つのに、その百姓の私をぶん殴って、足蹴にして、最後に死にかかってヒクヒクしている時に顔中にションベン引っ掛けたんですよ・・・こーれが許されますか?神様だったですかねー」

「そうだ、神だ、お前の言いたいことは全部聴いてやるから、全て話せ、怒りが収まらないのだろう」

「そうそう、さようでございます・・・もう絶対許せないのですよ」

「そうか、では復讐はどうやっているのだ」

「フクシュウでございますか?」

「そうだ、復讐はどうやっているのだ」

「復讐は、今こやつは恐怖でございますよ、てめーの粗暴さがアザとなって何もかにもが上手くいかないようになっておりますから”自分はどうなっているのか、ああ俺はどうなっているのか?急に俺の人生が変わってきた、なんでかなぁ〜なんなんかなぁ”と言って、いつもいつも人間関係や対人関係で、例えば人とすれ違うときも顔を伏せて見ないように、揉めないように揉めないようにと心に念じているのですよ、そのようにして私が恐怖のどん底におとしこんでおりますから」

「恐怖のどん底に落とし込んでいると云う事か」

「そうそう、さようでございます・・・もうそらぁ、こいつを私生きる屍にしようと思っておりますよ・・・人を視たら怖い人を視たら怖い!人とすれ違っても怖い!誰かを見ただけで、ああヤバイヤバイこら怖い、なんで俺は人がこんなに怖くなったのか、と恐怖のどん底にたたっきこんでおりますよ」

「そうか、ではその事も確認してみよう」


『今、喋った事は如何ですか?』

とご相談者にお伺いする。

と<その通りです・・・はい>

と素直にお認めになった。


「その他にはどうしているのだ」

「その他でございますか?その他には、私たち喰いものが全く無かったものですから、腹が減って腹が減ってたまりませんから、こやつにガンガン喰わせたり、喰わせなかったり、ですからこやつも喰える時はガンガンガンガン喰い、喰えなくなったら全く喰えなくなる、そして俺の身体はどうなってしまったのやろか、なんでこうなったのやろうか?とそう言う事もやっておりますよ、そして身体中どっかこっか痛い筈ですよ、私がこやつに憑いている時には体中がどっかこっか痛くてたまりませんから、私の痛みが、私とこやつは繋がっておりますから同じように、身体のどっかこっか痛い、ああ肩が凝るのう、ああ腰が悪い、なんでこんなに身体が、ああどうしてかなぁといつも思っておりますよ」

「そうか、ではその事もお聴きしてみよう」


『如何ですか?』

<はい・・・あのう腰痛はないのですが、腰がいつも硬いですねー、マッサージの人からも腰が凝ってますねーと言われます>


「おい、ところでお前は死んでどのくらい経つのだ」

「死んでまだそんなに経っておりませんよ、まだこっちに来てちょっとしか経っていませんから」

「そうか、では少し待っておれ」


『と言うように向こうでは殺されてまだほんの少ししか経っていないのです。人間界からすると2、3百年は過ぎていると思いますが、そのくらい時間の感覚が違うのです。だから恨みが消えていないのですよ』


「おい、お前はまだ復讐はやめるつもりはないのだな」

「フクシュウはやめませんよ、私はこいつに踏んだり蹴ったりされて木刀で殴られショウベンまでかけられたのですから、こいつが人間界に居る間は、死ぬまで私は苦しめますよ、まだ恐怖を与えて人を見るのが怖い、人と逢うのは嫌だ、もう嫌だ、もう家から出たくない、もうずーっと家の中に閉じこもっていなければ人と 出ると殺されるかも分からん、何か因縁ふっかけられヤラレルかも分からん、ともうその恐怖心をどんどんどんどん植え付けて、そして最後は、もう死ぬしかない死ぬしかない、と自分で首を吊って自害するように 仕向けているのでございますよ」

「そうか、ではもう今もそのような感じになるように仕向けていると云う事か?」

「さようでございます・・・今も本人は人と逢うのがイヤでイヤで堪らない筈ですよ、もう家に居るしかないし、そして、他の人間がこの人間を見ると、あの人は変わったなぁ、なんか目つきも違うし、なんかこの人とまともに働く事はできないなぁ、ああこの人の傍にいたらいつ自分がやられるか分からないわー、と皆そう言って、私がそのように思わせておりますから、この人間の周りに居る人間が皆どんどんどんどん離れていくんですよ、そして顔を見たら悪そうな人だから、この人の傍に居ったらいつ自分が殺されるか分からない、やっぱりやばいやばい、こんな男の傍におられんおられん、と私はこの男の周りのものにまで、私が皆に憑いて囁いておりますから、こいつはどんどんどんどん孤独になりそして、そして人が怖い人が怖い、ああもう俺は行き場がない行き場がない、もう家の中でじーっと篭っておく、もう外に出たら怖い、もうやっぱりやめとこう 、誰も居なくなるし、俺の人生はもう終わりじゃ、もうこのままじゃ、もう後は死ぬのを待つだけか、ああダメじゃダメじゃ、とそう思わせておりますから」

「そうか、ではそれも確認してみよう」


『如何ですか?』

<その通りです・・・はい>

『そのような感覚になってもう長いのですか』

<そうですねー3年ぐらい前・・・最近特に、人前に出るときには出るのですが、なんか億劫になってきましたねー>


と云う。

で、この後、百姓のキズを治す術を行いアアアアアアアッと云う声を最後に私の中から消えて逝った。

しかし、今回のご相談者は怨霊の喋る事を全てお認めになった。

大変素直な方である。


そして、この後、改めてご相談者のお名前を呼ぶと、また新たな前世の因縁が入って来た。

その入って来た怨念に、お前は宮古素直か?

と聴くがやはり私の首を横に傾げるだけで返答はない。

そこで早速念を入れる。

すると

「ヤヤヤ、ヤメテクダサイヤメテ、ウッッウッウウッ/////////////////////」

「お前が返事をしないからだ」

「ヤヤ、ヤメテ、アア、アナタサマハドナタサマデゴザイマスカ・・・・・・?」

「我は宇宙総帥と言う神じゃ」

「ソソ、ソレガナゼ、ワタシヲコンナクルシイメニアワセルノデスカ?」

これまでの霊なら、神と名乗るとビックリして即座に平身低頭になるのだが、今回の霊はなぜか、私の下した処置に不満をぶっつける。

「お前が返事をしないからだ。我が宮古素直かと聞いたときにお前が素直に返事をすればそのような手荒な事はしなかったのだ」

「ああ、さようで、わたしはミヤコスナオではありません」

「では、お前は宮古素直に憑いているものか」

「つ、憑いていると云うよりも、私この男から殺されたものでございますから」

「そうか、お前は前世では何をしていたのだ」

「わ、わたしはハッキリ言って、ま、町のチンピラでございます」

「町のチンピラだと、ではお前はヤクザの組織に入っていたのか」

「いや、ヤクザではなく、まぁヤクザのオニイさんに憑いて歩くまぁ、世間で云うチンピラでございました」

「そうか、ではこの宮古素直は何をしていたのだ」

「これは、まぁ噂によると、どこかの村の名主の倅、ボンボンとか言ってますが、まぁこれはボンボンのような顔はしておりませんでした・・・もうヤクザと全く一緒ですから、もう何と言うんですか、街を歩くときも肩をこう揺らして、もう手当たり次第みんなの顔を舐め回して、そして少しでも目が合うと、コラッ!キサマ何かわしの顔に文句でもあるのかー!!ナニカ憑いているのかー!!”と、もう手当たり次第文句を言っていましたよ、そして手にはいつも、何か刀のようなヤツを持って歩いているのですよ、これが百姓の名主の息子か、と云う感じでございますよ」

「そうか、ではお前はこの男とは知り合いだったのか?」

「いえ、知り合いではございませんが良く町で、呑み屋であっていたのですが、まぁこの男は私なんかの村でも有名な札付きのワルでございますよ、こんなワルと云うのはヤクザもののニイさんたちもあまり取り合わなかったんですよ”こんな悪いヤツには取り合ってもだめだ、あいつはもうキチガイじゃ、馬鹿じゃありゃ、恩義もなにも感じないヤツじゃ、あげなものに取り合ったらつまらないぞ”とヤクザもののニイさんたちも敬遠しておりましたよ、そりゃもうやりっぱなしの男でございましたから」

「そうか、そんなにワルだったのか?ではなぜお前は殺されるような羽目になったのだ」

「ま、殺される羽目になったと云うのは、結局やっぱりオンナがらみでございますよ、私はまぁ、その呑み屋のちょっと可愛い子がおったものですから、ネエチャンに、おい今度饅頭でも喰いに行こうや、と言ったのを・・・何かそのオンナがこの男を好きだったのでございますよ、そしてこの男にやはり言ったんでしょうねー私が饅頭喰いに行こうや、と言ったのをわたしを口説くのよ、と言ってそしたらこの男が、まぁ百姓みたいな若いニイちゃんたちをいっぱい連れてきて、私を呼び出して・・・そして私はこの男から、この男と云うより、この男は顎で、ヤレ!ヤレ!と云うだけで、他のチンピラたちが私をガンガンガンガン踏んだり蹴ったりして、その時はまぁ命は持ったのですが、まぁ何しろこの男は蛇のような性格でございますから、まぁその時は命は持って、その時は私は帰ったのですよ、それからキズが治ってまた町に逝ったら、そうしたらまた町で会って、そしたら今度はこいつに腹を刺されたのですよ、ドスのようなやつで腹を一突きされて、それから腹を何回も何回も刺されて私は殺されたわけですから、たかが女に饅頭を喰いに行こうや、とたかがそんな事が発端で、こいつにメッタ刺しされて殺されたわけですから、そしたらこいつは私の腹から血が吹き出るのを見て、若い馬鹿どもと一緒に”このアホが見てみ、ワシの女に声をかけたばっかしに、これが罪じゃ、お前たちも良く見とけ、ワシの女にちょってでも声をかけたらみなこのザマぞ、分かったのか?”とそしたら、兄貴、凄いですね、いやー兄貴お見逸れ致しました、とそしたらコヤツは馬鹿だから”へっ、こんなヤツは幾ら殺したって何も無いんじゃ、おい行くぞー”と威張って、私はその時の言葉が今も耳に残っておりますよ、ですから死んでこっちには来ておりますが、その時の悔しさだけは忘れられないのですよ、やっぱしあれだけ馬鹿にされて、たったオンナに饅頭を喰いに行こうや、と言ったばっかしに、あれだけの袋叩きにあって、そして次に町で合ったら腹をメッタ突きにされて殺された訳でございますからねー、ですから絶対許せるものではございませんよ」

当時の女性の口説き方は、饅頭を食べに行こう、であった。

「お前は宮古素直とは付き合いなどはなかったのだな、呑み屋で合うだけだったのだろう」

「さようでございます」

「だけどお前の前には百姓が憑いていただろう」

「いやいや、百姓は憑いておりましたがそれが突然いなくなったものでございますから、私がポット入ったのでございますが」

「そうか、では前に居た百姓が休憩か何かでいなくなった時にお前が入っていたと云う事か?」

「さようでございます・・・百姓のヤツが時々休憩するんですよ、この百姓がまた怠けものでございましてねーもう少しやったら(復讐)休憩するもんで、だから私が代わりに入ってコヤツを苦しめているのですよ」

「そうか、ではお前は復讐はどのようにやっているのだ」

「復讐でございますか?」

「そうだ」

「私が入って復讐するときには、結局私コヤツに因縁ふっかけられて殺されたわけでございますよ、オンナ絡みでございますよ、ですから私が入っている時にはこいつにオンナ絡みの揉め事を起こさせておりますよ、ですからこいつは女をみると今も怖いのですよ、女には後ろにナニが憑いているのか分からない、ああっ、この女大丈夫かなぁ、これ後ろにナニが憑いているかわからんなぁ、といつも、だから女を口説くのにももう真剣になって、こいつに誰か憑いているんじゃないか?誰か憑いているんじゃないかといつも思っておりますよ」

「そうか、では少し待て」



『如何ですか、今喋っていた事は』

とご相談者にお伺いする。

と<そのとうりです>

と今喋っていた怨霊の云う事をお認めになる。



「おい、お前の言う事は良く分かった。お前は今もメッタ刺しされたところから血が吹き出ているのか?」

「いや、吹き出るのですよ、だから両手で押さえていないとこう吹き出るのですよ」

「そのほかには復讐はどのようにやっているのだ」

「その他ですか?私ね、ここ血だらけになって腹がゆるいのですよ、だからこやつもね腹をゆるくさせておりますよ、いつも腹が悪い腹が悪い、とこやつ私が憑いた時に、いっつもあっ、腹が腹が、とそらそうです・・・私、腹が穴だらけになって、血がどんどん出て腸まで出て、だから腸を押さえ込んでる、だから私が押さえ込んでると、こやつの腹も悪いんですよ、ですからこれ、ああ俺どうしてこう腹が悪いんだろうか、なんでこう腹が悪いんかのうー、といつも頭を悩ませていますよ」

「そうか、ではそれも確認してみよう」



『如何ですか?』

<腹と云うか胃がたまに痛くなります>



「腹が悪いと言う事も良く分かった、その他はにもうないのか?」

「いえ、その他と云うより、私は仲間から、お前は蛇のような執念を持っているなぁ、と言われておりましたから、私が憑いたら徹底して恐怖のどん底でございますよ、女がらみでございますよ、ですからもうこいつは自信がないんですよ、もう女にとりあうのはやめないといかんなこら、女にとりあってもいい事は全然ない、もううんざりじゃ、とこう思っておりますよ」



『今、言った事も間違いないですか?』

<はい、間違いないです>



「良し、もうお前から宮古の事はある程度聞いたようだな。では、今からお前の腹のキズを治してやろう。お前とこうして話をするのもこれも何かの縁じゃ」

「ああ、私の穴だらけの腹を治して頂けるのしょうか?」

「そうだ。穴だらけの腹を治さないと血だらけで苦しいだろう。おい、ところでそこにはお前のような幽霊はいっぱい居るのか?」

「えっ、ユウレイでございますか私?」

「そうだ。腹は穴だらけの身体で、お前は幽霊ではないのか」

「いえいえ、幽霊ではございませんよ。確かにここには何とも知れない、もうザンバラ髪で顔が半分しかない本当のユウレイがいっぱいおりますが私はユウレイではありません、私はちゃんと生きておりますから」

「では、お前の幽霊のような身体を今から治してやる」

「ええ、さようでございますか?もう神様が言われるのでしたら、もうなんでも結構でございます・・・どうか治してくださいませ」

「よし、ではそこで待っておれ」

前世でチンピラだったオトコの穴の開いた腹のキズを治す術を始める。

「そこに居るのか?」

「ここにおります、ここに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ウウウウウウッ、ウウウウウ、ウッウウウウ、ウッウッウッ、ウッッアッウッ///////////////////」

ウッウと言いながら私の元から離れて逝った。

前世では相当の暴れ者だったご相談者。

現在でもヤクザとの付き合いは少なからずあるという。

やはり性格は根本的には前世とあまり変わってはいないようである。

そして何をしても上手くいかない、と言っていたが、何をしても上手くいかないように前世の因縁にされていたのだ。

しかし、これで前世の因縁の復讐が終わったという訳ではない。

まだ前世の因縁は残っていたのだ。

残念ながら全て除けずに帰られた。

この後、また新たな復讐が始まるのである?


今回のご相談者は30代の弟さんとご一緒にお見えになられた。

弟さんは数年前に当相談所で前世の因縁を除けた経緯がある。

その時、ご両親の因縁も除けたのである。

だが、ご家族でも前世の生い立ちは全く違うものであった。

父親や学者で母親はお城のお姫様の身の回りの世話をする係。

弟さんは武士。

今回のご相談者は名主の息子と言う具合に。

と言う事はご先祖さんも全員違うということなのだろうか?

いや、そんな筈はない。

ご家族で先祖が皆さん違うとは考えられない。

果、これはどう言うことなのだろう。

今度、またお見えになられた時にご先祖さんを呼び出し訊いてみるとするか。







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