心霊なんでも相談室

相談事例5


今回のご相談者は、新潟からお見えになった、40代半ばのお綺麗な女性の方である。

18歳の頃から対人恐怖症にかかり、人と話すのが怖く、これまで男の人とお付き合いをしたことが一度もないという。

対人恐怖症と言われた当時、何か悪いものにでもとり憑かれたのでは、と近くの霊媒師のところへお参りに行ったが、別に何も憑いていないですよ、と言われたという。

その後数箇所廻ったがどこも同じだった、と。

そして、数十年経た最近、また少しひどくなったような気がして2、3箇所ほどお参り所に行ってみたが、結果的には数十年前と同じで原因は分からなかった。

しかし、視てもらいに行けば行くほど先が見えなくなり、不安がますます募るようになった気がする、と言う。

それでも、ある一箇所のお参り所では”あなたと家にナニか憑いている。

あなたにはおばあさんが憑いている。

家にもナニか憑いているよ”とだけ言われたという。

憑いている、と言うことが分かっただけで別にナニかをするという事もなかったと言う。

今は自分にとって、良い事と思うことを、何かやろうとすればアレルギー性の免疫異常が起き、途中で何もできなくなると言う。

それに、足にぶつぶつができ、ムズ痒い。

だから好きなものも食べられなくなっている、とも。

そこで早速、対人恐怖症や免疫異常の原因となる、霊的なナニカに憑依されているのではないか、と言う事で調べてみることにした。

調べるにあたっては、ご相談者の魂を私の中に呼び込まなければならない。

ご相談者の、心の中に巣くって(憑依する)いるものが何も入っていなければご相談者の魂が直接私の中に入ってくるのだが、ナニカがいれば、そのナニカが先に入ってくる。

さぁ、果たして、お参り所で言われたように、ご相談者の心の中に“おばあさん”は潜んでいるのだろうか?

家に憑いている、と言われたものは最後で良いだろう。

どうせ数百年前の土地の持ち主に決まっているのだから 。

さて、ご相談者の魂を呼び込む準備を始めよう。

まず、心(意識)の中に巣くっていると思われるモノを呼び出すにあたってお名前を書いていただく。

お名前を書いていただくのは、紙面に書いたお名前から、ご本人の意識を私の中に呼び込むためである。

名は体を現す、の通り、紙面にお名前を記すと意識が備わるのである。

その意識を私の中に呼び込み、私の意識と連携させ、会話を引き出すのだ。

紙面に記されたお名前に向かい

「おい、北野さむこ入ってこい!!北野さむこ入ってこい!」

とご相談者のお名前を呼ぶ。

がご相談者の魂は入ってこない。

と言う事はご相談者の魂が入れない何らかの理由があるのだ。

その理由といえば言わずと知れたナニカが絡んでいるからである。(ナニカが絡むとは霊に憑依されているという事)

このナニカがご相談者の魂の上に覆いかぶさり身動きできないようにされているのだ。

本来なら、そのナニカが先に入ってくるのだが、そのナニカも危険を感じて入ってこないのである。

そのため、ご相談者の魂も入ってこれないのだ。

それでもしつこく呼んでいると、やっとご相談者の魂らしきナニカが入ってきた。

早速

「お前は北野さむこか?」

と聞くが、私の首を横にふるだけ。

と言う事はご相談者の魂ではないと言う事になる。

再度、聞いてもやはり同じ動きをするだけ。

ならば、といつものように両手を頭上で組み念を入れる。

念を入れるとは、こちらでは単に両手を合わせて頭上で組むだけだが 、闇に潜むものが居座っている場所で、私の魂、宇宙総帥が光球となって突如、ナニカの頭上に現れ、ナニカの頭から体中にカミナリに撃たれた時のような激しい衝撃を与える事を言うのである。

故に、その衝撃に数秒も耐えられず、たちまち音をあげ私の言いなりになるのである。

そして”お前は・・・”と言う私の声が頭の中でガンガン響くように聞こえるのだ。

決して耳から入る声ではないという。



念を入れるとたちまち

「ウッ!グググッグギャギャッ、ガンガンガガガッ」

と苦しみだした。

「北野さむこか、と聞いているのだ!!」

「ガガガガッアアアアッ・・・・グッグッウウウウウ」

何も返答もせずグググと言う訳の分からない声を発するだけ。

「北野さむこかと聞いているのだ!」

「やや、ヤメテ、yamete!!やめてくださいませ…..」

ヤメテ、とやっと声を出した。

「やめてくださいと云うが、お前は北野さむこか、と聞いても返事をしないからだ。お前、無視をしただろう」

「むむ、ムシはしませんが、なな、何事が起きたのかとびっくりして、いい、いま戸惑っているところでございます」

「では、今から我が聴くことに全て応えるか?」

「ここ、応えるもなにも、ああ、あなた様は、どど、どなた様でございましょうか?」

「どなたではない。我は宇宙総帥八坂啓二と言う神じゃ!」

「カカ、カミサマでございますか?」

「さようじゃ」

「ああ、それはオミソレいい、いたしました」

「では、今から我の聞く事に全て応えるか」

「こ、コタエル、なななんでも、私の知っている事はなんでもお応えしますから、どうぞお聞きになってください」

「よし、それならお前の前世の仕事から聞きたい。仕事は何をしていたのだ」

「わわ、私は侍でございました」

「侍か?」

「さ、さようでございます」

「では、この北野さむこは何をしていたのだ」

「ここ、この女は私の女房でございました」

「お前の女房だったのか」

「さ、さようでございます」

「では、このさむこは前世では、どのような女房だったのだ?」

「どのような女房と云うよりも、こやつは、前世は私の妻でありましたが、これは元々お姫様でございます」

「お姫様か?」

「さ、さようでございます。ご、ご家老様のお姫様でございました」

「ご家老の娘と云う事か」

「さ、さようでございます」

「では、お前が、この女の亭主ならば、この女の性格は良く知っているのであろうな」

性格を聞くのは間違いなく、この男が前世の夫だったのか確認するため。

「セ、セイカク?性格は、私は、それは知っています」

「では、お前が本当に、この女の亭主ならば性格を言ってみるがいい。全て分かっているのだろう」

「わ、分かっております。セイカクは普段は、これはわりと明るいのです。な、なにしろご家老様のお姫様だった人ですから、普段はいつも気取った感じでおります。ですがわりと話しやすいのでございますが、少しでも自分の気に食わないことがあると、もう全く無視をするのです。もう何というか、表面上はわりとお嬢様のような感じでおしとやかにお話はされるのですが、ちょっと何かあると、もう完璧に無視ですね。それはもう冷たいと云うか、なんと云うか、手の平返したような態度になるのです。それこそ、あのおしとやかなお嬢様がコッロと変わりまるで、もうナニカに取り憑かれたのではないかと、鬼のような表情になって、それはもう凄いのなんの、もう私も最初ビックリしたぐらいぐらいでございます」

「そうか、では普段はお嬢様のようにおとなしいと言うのか?」

「おとなしいと言うよりも、普段はお嬢様のような感じではございますが、わりとハッキリものを言うのでございます」

「では、普段はお嬢様のようであるが、しっかりしていると云う事か」

「さ、さようでございますねー。なにしろ、こう頭が大変良いものでございますから、こう色々、こう話をしていても、私はいつもこう、揚げ足を取られる感じ、理詰めでどんどんどんどん言われてしまって私はもう、ハッキリ言って最後はもう喋れなくなってしまうのです」

「そうか」

「要するに、自分を素直にだそうとしないのです。いつも奥に秘めている、自分の感情と言うか、普段は、だからあまり、こうださないのです。そして、こうたとえ楽しいことがあっても、普通のお姫様とか女性ならニコニコ笑って、本当に嬉しさを出すのですが、この女は、そう言う嬉しさとか感情をあまり出さないのでございます」

「そうか、分かった少し待っておれ」

「ははい、わかりました」



前世では、今、喋ったような性格だったようですが、如何ですか、今喋ったのが、あなたの前世の旦那さんですよ。

とご相談者に……。

『私、物凄く暗くて、人とものが喋れないので、上から目線で喋る事はできないです(ご相談者)』

と言う。

いや、前世はそのような性格だったと云うことで、今生では、これ(怨霊)が憑いているから前世のように言いたいことが言えないようにされているのです。

だから、自分からは喋れないと言うことでしょ。

『全くできない』

そうでしょう。と云うか、これがあなたの感情をださせないようにしているのですよ。

しかし、元々の性格は怨霊が言ったように、ハッキリと物事を言う感じだったんですよ。

『へ〜っ』

と前世の性格を知り驚く。



「では、今お前は復讐をしているのであろう」

「復讐と云うより私、この女に騙されて殺されたものですから」

「なに、どのような殺され方をしたのだ」

「私、この女に直接殺された分けではございませんが、結局私がよその女と浮気したと勘ぐられてしまい、それを私…..この女は私には直接には言わないのです。全て自分の父親や兄弟、またこれには兄様もいたものでございますから、その兄様とか、そう言う人に言われてしまい、この女のご両親とかご家族皆に私の事を言いふらされてしまったのです。実のところ私は浮気などしていなかったのですよ。私は、ただたんに、女性の方とお話するとき、普段から愛嬌がいい方でございますから、こういつもニコニコ笑ってお話すると、それが世間の人は、なにかあるのじゃないかなぁと勘ぐられてしまったわけでございます」

「そうか、少し待て」

「ははい…」

「う・・・ん、ではお前が浮気をしたと勘違いをし、女の身内に言われたと言うことだな」

「さようでございます。それでご家老様….うーんご家老様も全部知っていたのでしょうが、この兄様から突然呼ばれたのでございます。そして私追求されたのでございます。”お前は、どこどこの女と浮気をしていると聞いたが、それは本当か?”と言われたものですから、“そのような事は全くございません。それは濡れ衣でございます”と言って弁解したのでございますが、私が弁解すればするほど、何か相手に不信感を抱かせ、それでもその時は、まぁ”じゃぁ今日は帰る”と言われて、帰ったのでございますが、もうこの女は、家庭なんかもう無視でございますよ、冷たいも何も、まるで私を犬畜生のような感じで見下げておるものでございますから、もう私もいてもたってもいられなく、私は普段はお酒は呑まないのですが、お城から帰る時、酒をもう浴びるように呑むしかなかったから、酒をのんでは酔っ払って….. .フラフラ、いつも、ゥウウゥッ、アウウウウッ(嗚咽)我が家に、我が家に帰りたくない、帰らないと想っても帰らないといけないとテクテクテクテク、暗い夜道を歩いて帰って、そして,、こそっと玄関を開けて、だまぁーって家に帰り、そして黙って一人で床に入り休んでいたのでございます・・・そんな日々を繰り返している、そんなある日また呼び出しを受け”お前はなんと言う事をしているのだ!”と、今度はもうその時には兄様、ご家老様、ご家老さまは、この女のお父上でございます。その方たち皆からガンガンガンガン詰問のような厳しい状態で追求され私もうヘトヘトになり…..もうどうでもいいわっ!と帰り、ついついまた酒を呑み、そして、そこの女と親しくなりダラダラしていると、その女の事も見つかり、もう誰も彼も寄り付かなくなり、そして私 お城から帰る時、突然闇討ちに合ったのでございます。そして斬られ、悔しくて、クヤシクテ!痛くて、ウッウウウウウ(すすり泣き)アアアアアっ、そしてパット目を開けて視ると、たまたま月明かりで、私を闇討ちした相手の姿がみえたのでございます。その時初めて私を斬ったのが誰か分かったのです。兄さんだったのです。その兄様が言うには、私は息も絶え絶えで死にかかっておりました。そしたら”おまえのう〜、お前わしの妹をほったらかして他に女をつくりやがって、シネ〜!貴様死ね〜!”と言って滅多刺しでございます。それで気がついたら、もうこっちに来ていました・・・ああっ、クヤシクテ、悔しくて・・・クヤシクテ、クヤシクテ、死んでも死にきれない、この体でございますアアアッ(泣く)考えれば考えるほどクッソ!!こんなことに、こんなことに、こんな体にしやがってゥウウウッ(泣く)、それからわたしは、こいつに、この女にとり憑いて私は 、こやつを必ず、おれとおなじように、こやつも人から嬲り殺されるように、それに誤解を受けて殺されるようにしくんでやる!と殺されてからこの女に憑いているのでございます」

「では、お前は、この女から直接殺されたのではなく、兄貴から殺されたと言うのだな」

「そうそう、さようでございます」

「では、なぜ兄貴に祟らないのだ」

「兄様に祟ると云うよりも、殺されるようになったのは、この女のせいであります。ですから私・・・この女を苦しめてやる….クルシメテ、苦しめて地獄に引きずり込んでやる!!……..同じ苦しみを味あわせてやろうと想い憑いておりました・・・・」

「ところで、お前は復讐はどのようにしているのだ」

「フ、フクシュウ・・・まず、この女が二度と男に抱かれないようにしています。そして、これは人間に近づくこともできない。人間に近づけば恐怖ですよ。人の顔を見ただけで”あっ、この人私にナニかするんじゃないだろうか?この人も私にナニカ言うんじゃないだろうか?ああっ、私、この人に騙されるんじゃないか?”と云うような恐怖をいつも与えております。ですから、この女は人の顔をまともに視る事はできません。視れば怖い!コワイ!と怖い想いが先にたち見ることはできません」

「そうか、要するに人と話をさせないと言うことだな」

「ささ、さようで・・・ゥゥゥゥゥッ」

「よし、其のほかには何をしているのだ」

「ソ、ソノホカ、其のほかには、こやつはいーつも”あっ、私頭がおかしい?あらっ私ここもおかしい?あらっナニ?この体、あらっ、なんで私こんなに悪いの?あらっ、私どうなったのかしら?ああっ、私どうなった?ああっ、私を誰かタスケテー、たすけて〜ダレカ、ダレカ私を助けてくれる人はいないの〜”と、うふふふふふいつも怯えさせておりますよ」

「そうか、では少ししまて」



如何ですか?今喋った事に心当たりはありますか?

『はい』

では、今、この怨霊が喋った事は本当ですね?

『はい』

本当と言う事は、この怨霊があなたに憑いているものであると言う事も分かりますね。

『はい、はい、あっちがおかしい、こっちがおかしいとなるので少しうつっぽくなっているので、今言った事はわかります』

と云うことで、今回のご相談者様も怨霊の存在をお認めになった。



「おい、もう少し待っておれ」

「ははい、どうぞごゆっくり。どうぞまた私の話を聞いてくだいませ」

「分かっている。だから少し待っておれと言っているのだ」

「わ、わかりました」

怨霊が興奮して早口で喋るため少々疲れる・・・・怨霊を待たせて少し休憩に入る。



「おい、ところでお前以外に、この女に憑いているものは、まだ他にもおるのか?」

「ココ、この女に憑いているものですか?」

「そうだ」

「こ、ここは暗いんですよ。もうナニカ訳の分からないものがフラフラ、もうウロウロしているものでございますから(ウロウロとは浮遊霊のこと)私、全く分からないのでございます」

「では、お前は、この女(魂)をどこで捕まえたのだ?」

「私が捕まえたのは、私が殺されて、私こいつを探し廻ったのです」

「どこに探しに行ったのだ」

「この少し上の方に逝くと人間界に降りた奴らのたまり場があるのですよ。そこまで逝き探したのですが」

「そこまでとは、お前たちのおることろから近いのか」

「近い?と云うよりも、暫く歩いていくと薄明かりのところにでるのです。そこに逝くと、何とも知れない田舎の集落のようなものがあるのです。そこは人間界に降りているものばかりが集まる場所であり、そこで捕まえ引きずりこんだのであります」

「そうか、ではそこまで逝くのに何里も歩くのか?そこまで遠くはないのか?」

「そんなに遠くではございません。私は斬られて這って逝きましたから」

「そうか、では遠くではないと言うことだな。よしもうよい」



私がどこで捕まえたのか、と聞いたのは、怨霊の棲家から人間界に降りている魂ばかりが集まる部落は、遠いでのはないか との思いで聞いたまで。

がすぐそばだったとは知らなかった。

霊界は、山の麓の一番下に地獄があり、その少し上に怨霊ばかりが集まる林がある。

その少し上に人間界に降りている魂だけが集まる 部落があり、その上に昇るとご先祖さんたちが棲む集落がある。

ご先祖さんたちが棲む集落とは、皆さんが帰る場所。



『何か自分の心の中(意識)のことですが、何か自分の中でヘビのようなものが水の中で苦しみ、のたうちまわるような感じがするのですよ・・・』(ご相談者)

ノタウツような感じがすると言うのは、怨霊事態が殺されて苦しいから、あなたの中でのたうち、もがいている様子が伝わるのですよ。

それを貴女は感じているのです。

『胸の中だったり背中だったり場所は移動するのですが』

怨霊は体中を斬られていると言っていましたから、斬られた箇所の痛みが転々と移るのでしょう。

その痛みをあなたも感じているのでは、これは良くあることです。

怨霊と同じような痛みを感じると言う事は。



「おい、聞こえるか?」

「はい、聞こえております」

「お前は、この女に対してまだ復讐はつづけるのか?」

「フクシュウはやる!こやつがキチガイのようになって“たすけて〜、タスケテ〜”と叫ぶ姿が私、嬉しくて、嬉しくてたまりません。ですから最後はこやつを地獄に引きずり込んでのたうち回らしてやろうと想っております」

「では、お前は今、地獄の近くまで引きずり込んでいるということか」

「地獄の近く?いえいえ、地獄は怖いんですよ。物凄く怖いんですよ・・・ですけど怖いけど、が我慢して少しずつ、少しずつ引きずりこんでおります。ァァァゥッ・・・」



地獄は怨霊の棲む直ぐ下。

そこに引きずっていると言っているのだ。



「では、お前は、この女から離れると云うような気持ちはないのだな」

「そ、それだけは許してくださいませ。私体中斬られて血が吹き出ているのですよ・・・もう口からも血が溢れ出てウウウウッ!くちからも血がたらたら流れ…..ウウウッ、このクルシミがアアッ、このくるしみを、この女にも味あわせて、私の苦しみと同じクルシミを与え、そして地獄に落とすのでございます。ですから、こやつはもう半分キチガイでございますよ。普通はこの女を視ると“あっ、綺麗な方だな”と想うような感じですが、近寄ると、皆こやつの傍に近寄ると、皆背中がゾーッとするような感じで遠ざかってしまいますよ・・・嘘ではありません・・・この女に聞いてみてくださいませよ」

「そうか、ではそれも聞いてみよう」

「ウウウッ(すすり泣き)、お願いたします」



今、喋った事についてお心あたりはありますか?

『それは、どちらかと言うと私の方が怖くて(人に近寄るのが)』

そうですか、最初に言った、あなたは人に近づけないと、そのことですね。

だけど相手もあなたに近づけないようにしているというのですよ。

だからあなたは誰にも近づく事ができないようにされているという事なのでしょう。



「おい、お前はいつまでもそのような血だらけの体では苦しいだろう」

「苦しいもなにも・・・私、また死ぬんじゃないかと怖くて、怖くてたまりません。ですから私は、ここ怖い、ここ痛い、ここ怖い、ここ痛い、イタイ、コワイ、イタイコワイ、体が痛い、この女も同じように“ああっ、コワイ!怖い”この女無意識でしょうが“ああっ、わたしもうだめ、ダメダメ!”といつもこんな感じで蹲っております。“ああっ、もうだめ!”と言っていつも蹲っております」

「そうか、では少し待て」



そのような感じはありますか?

『はい』

そうですか

『へえ〜、えへへ、へえ〜』

とご相談者は照れる。



「おい、お前は今、そこから我の目の前におる女がみえるのか?」

「み、みえております。しかし、これが私と一緒になっていた女かな?と想うと何か信じられませんね〜、私が一緒になっていた時は、これはまだ16か7だったから、本当に、こうお姫様の感じでございましたから、これはなんか姉さんのような感じがします」

「それはそうだろう、本人は今、40代だぞ」

「ええっ、よんじゅう〜、よんじゅうだい?そんな、私殺されてまだ、ほんのちょっと前に殺されたばっかりで、もう40代にもなっているのですか?」

「そうだ。お前が死んで人間界ではもう2,3百年経っているのだ。この女が生まれて40年は過ぎているし」

「さ、さようでございますか・・・・はぁ〜私殺されてそんなに、まだこんなに血が吹き出ているんですから、ついつい少し前に殺された感じでございます」

「そうか、やはり人間界とお前たちの世界では時間の経過が全く違うと言うことだな」

「さようで・・・」

「では、まず、お前の斬られた体を治してやろう。血だらけの体を元のようにしてやる。そうしなければまた死ぬような事にでもなったら大変だからなぁ」

「そうそう、さようでございます。その通りで、カミサマ私の体を治してい?だけるのでしょうか?」

「そうだ。そうしなければ話ができないではないか」

「さ、さようでございますか。あ、有難き、有り難き幸せでございます。カカカ、神様お願い致します。神様お願い、私の体を宜しくお願いします」

「よーし、分かった。では、そこに跪いておれ。今から治してやる」

「ああ、有り難き・・・」

「ところでお前はどこが一番痛いのだ」

「痛いのは、体中でございます。もう闇討に合った時に後ろからザクっとやられ、この頭の下のところからカスッテ、背中からザーット斬られて、そしてアアーッとなっている時に前から足で蹴られ、そして刀で腹から体中刺されたのでございます。ですから、どっかこっかから血が吹き出ているのでございます。そして耳が聞こえにくいのです。多分後ろから、こう斬られた時に耳のところも斬られたのじゃないかと、だから耳も聞こえにくいのです」

「では、お前が耳が聞こえにくいと言う事は、この女も耳が聞こえにくいという事なのか」

「この女は耳が聞こえにくいと云うより多分、この後ろ頭が時々ガガガガッー(痛み)と来るのではないかと想います。私がガガーッとなった時、頭の芯のとこがガーッ(痛み)ときますから」

「そうか、では少し待て」



今、喋ったように頭が痛くなると言う事はないですか?

『頭はないですねー』

頭はないですか?後ろから斬られたと言ってますから.......

『ああ、そうですか』

では耳は良く聞こえますか?

『普通ぐらいですかねー』

では、耳は普通に聞こえると言うことですね。

『はい』



「おい、耳は普通に聞こえると言っているが」

「わ、私耳がこう、そして何か、鼻もおかしいのです」

「鼻もおかしいのか?」

「はい、多分血を吐いた時、鼻からもバーッとなって、それ以来鼻がスッキリしないのです」

「そうか、では少し待って」



如何ですか、鼻はなんともないですか?

『はい、鼻もとりあえずは』

では、耳も鼻もなんともないと言うことですね。

『今のところは』

今までもないという事ですね。

『はい』



「おい、今まで鼻や耳が悪いと言う事はないそうだ」

「さ、さようでございますか。だったらこれから私の悪いところを全てうつしてやりますよ」

『いやいや、それは困ります。うふふふふ、それはやめてください(ご相談者)』

「よし、分かったではお前の体を治してやろう」

「ああ、ありがとうございます。ありがとうございます。お願いします。カミサマ、アアアア」

「よし、ではそこに跪いておれ」

「ああ、分かりました。跪くのはできませんから横になってていいですか?」

「おお、では横になっておれ」

「は、はい・・・」

では、今からこの怨霊の刀傷を治しますから、とご相談者に告げ、両手を合わせ、キズを治す術を始める。

と「ウワーッ、ギグギググウウウウッwwwwwwwww・・・」

と激しい叫び声をあげたまま一気に上に去っていった。

少し前なら

「あっ、ここはどこですか?あっ、キズが治っている」

などと喜びの声が聞こえていたのだが、今は両手を動かしていると、叫び声だけを残しそのまま霊界に去ってゆく。

なんとも味気ないことになって、とは言ってもそれだけ私の能力がアップしたと言うことだろう。

以前は、霊界の待合所、通称三途の川に降りた怨霊を舟で迎えに来る先祖や歩いてみえる先祖がいたのだが。

歩いてみえる先祖は大体3,4人連れでわりと品のある、と云うより生前、お侍さんでも高い地位にいた方であろうと云うのは、怨霊の話し方から想像はできた。

それにお迎えにみえる方は、皆さんニコニコとした笑顔のご老人ばかり、それもおじいさんが殆どだったように思う。

たまに幼いお子さん連れもいたようだが。

伝馬船で迎えに来るのは、船頭と、殆どがみるからに貧相な装いのおばあさんたち、それも一人だけで。

多分、生前は極貧生活を余儀なくされていた方々や、それにお百姓さんのような出で立ちをした方々だった。

霊界も貧富の差が激しい。人間界と殆ど変わりがないのではないかとさえ思う程だ。



しかし、今回の、前世の婿殿は良く喋ったものだ。時間にして54分、だが大体、怨霊は良く喋る。

それと言うのも、殺されて突然一人になった、と言う寂しさもあるからではないだろうか。

この後、ほっとする間もなく、私の上半身が突然、ピクッ、ピクッと脈打つような動きを始める。

ナニカが入ってきているのだ・・・うーん?

一体なんだ、呼びもしないのに私の中に入ってくるものは・・・・

と言えばもしやご相談者様のご先祖か、とも思ったがそうではない。

呼びもしないのに入ってくるものと言えば、ご相談者とご縁のあるご先祖しか、これまでにはいなかった。

そこで正体を探るために念を入れる。

すると私の頭がガクガクとなる。

と言う事は向こう側にいるナニモノかもガクガクなっている筈であるが、ナニモ応答しない。

まるで念が効いていないようなのである。

「お前はナニモノだ」

と言っても無視。

この後、ガクガクとなる動作が暫く続く事になるとはこの時は思いもしなかった。

まるで時間の流れに、なすがまま身を任せているように。

特に、苦しみに耐えているような素振りさえ伺わせず。

だが、非情にも私の体力に限界が近づきつつある。

念を入れ続けると言う事は、相手もさることながら、私自身も相当な打撃を受けるという事なのだ。

それは向こう側にいるナニモノかの頭上にカミナリが落ちた時のような激しい衝撃を与え、体をガクガクさせているからである。

その動きがそのまま私に伝わり、私の頭も前後にガクガクと揺れ続けるからである。

しかし、向こう側のものは私以上に相当にキツイ筈なのだが……。

数年前、地獄の淵にいる大蛇と戦った時の事を思い出す。

あの時の戦いは約2週間続いた。

終わった時にはへとへとになり、身動きとれない状態にまで落ち込んだ。

何しろ幾ら念を入れても手応えがなかったのだ。

流石に凄い、と思ったが一度でも負ける訳にはいかない、との思いで、ただひたすら自分を信じ、念を入れ続けた。

すると2週間が過ぎようとする時、突然大蛇が”もう負けました。宇宙総帥様さすがです。もう去ります”と言って一瞬にして消えていった。

ほんと、あの時はホッとし、やっと終わった〜、とぐったりした経験がある。

しかし、あのような地獄の淵に屯する化物(大蛇も含む)等は私の力をもってしても倒すことはできない。

と云うより、倒れる前に自分の方から去っていくのである。

と当時の、数年前の激しい戦いがガクガクとなる頭の中で走馬灯のように脳裏を掠める。

が、やはり今回も途中で投げ出す訳にはいかない。

一度戦いを始めれば相手が逃げ出すまではどんなにきつくても念を緩めるわけにはいかないのだ。

その後10分、20分と時間が経過するうちに、私の中に入っているものは化物だ、と仮定し、この化け物をご相談者に移そうと考える。

万一、化物なら、ご相談者に移せば、ご相談者の体に何がしかの変化が現れると考えたのだ。

また、倒すのにもそれの方がやりやすいからである。

だが、ご相談者に移し数分が過ぎてもご相談者の体に何も変化が起きない。

「お前は、北野さむこの体を動かす事はできないのか?」

と聞いても、静かなもの。

何の返答すらない。

と言う事は、ご相談者ご自身にあまり霊的感応力がないのか?

それとも、また無視をしているのか?

どちらにしても、このままでは、この先も何も変化が望めないのでは、とみこし、ご相談者に目を開けて頂き、ご相談者から出すのをやめにした。

目を開けて頂くとは、ナニモノかを移すときには目を閉じ合掌をしてていただくからである。

そして、また私に戻し先ほどと同じように念を入れ続ける。

「おい、お前は北野さむこに入っているものだな。おい」

と私の中に入っているモノに問いかける。

あまりにも反応がないため、本当にご相談者に入っているものなのか、と不信感が湧いてきたからである。

その不信感を抱かせる原因として”いつ”私の中に入ったのか?

が定かではないからだ。

私が呼び込まない限り私の中に入る事はできない筈なのだが?

と考えている間も私の頭はガクガク揺れている。

「おい、我の体を動かすだけでなく出てこい!早く出てこい!!」

このように“出てこい!”と言い続けていると、たとえ化け物でも何らかの返答は示す……..のだが?

だが 、突如

「わわわ、わたしをたすけて….ァァァァァッわわ、わたしをたすけて・・・い・た・だ・け・ないでしょうか?」

と喋り始める。

”タスケテ”とは、化物とばかり思っていたのだが・・・違っていたのか。

最終的には化け物ではなく、怨霊だと分かったのだが、30数分間もの念に耐えていたのだ。

何とも凄い怨霊であった。

と言う事は、裏を返せばそれだけ恨みの念が深いという事なのだろうか。

普通、怨霊は数秒で音を上げる。

それが30数分も我慢しているとは、なんとも驚きである。

「おい、お前は私を助けてと云うが、お前は北野さむこに関係あるものか?それが知りたいのだ」

あまりに正体を表さなかったから一応確認のため聞く。

「ああっ、わたしは関係があるものでございます」

「北野さむこに関係あるものだな」

「さ、さようでございます」

「お前はどうしてさむこのカラダを動かせなかったのだ」

「・・・わたし、私は、このさむこなるもの、ウガガガ…..」

「どうした。お前嘘をついたら許さないぞ。本当のことを言え!北野さむこに関係があるものか、と聞いているのだ」

化物の類は嘘が上手いため一々確認しなければならない。

「うるせーい!!お前はナニモノだ!!」

ギョッ!!先程の泣き声から突然手の平を返したように豹変し大声で怒鳴る。

「我か!」

「さようじゃ、お前はナニモノか!」

腹の底から吐き出すように低い声。

「我は宇宙総帥八坂啓二と言う神じゃ!」

「カカ、カミ〜?お前のようなものがカミか?」

「さようじゃ、我は神じゃ、お前はナノモノじゃ」

「ウハハハッ、われもカミじゃ!」

「お前のような神がおるか、タワケモノガ!」

なんと驚く事に、今度は神と言い出した。

更に念を入れ続け正体を探る。

まぁ、どちらにしても返答があった。

と言うことは今後の展開に楽しみが増えたということでもある。

「よし、では今から我との戦いだな、楽しいことだなぁ、お前が神を名乗るか、ならば我との戦いじゃ、覚悟せよ!」

と言いつつ、頭をガクガクさせながらひたすら念を入れる。

すると

「北野さむこだ」

「なに、嘘をつくな。何が北野さむこだ、馬鹿者が!お前のようなヤツが我の前で北野さむこなどとぬかすではない!!お前のようなヤツが神を名乗ったり、北野さむこと言ったり、お前が北野さむこと関係があるものか、それを知りたいだけじゃ、どうだ」

その後、数分間また返答が途絶える。

こうなると徹底して戦う姿勢を示し、化物?の疲れを待つ。

「おい、お前は余程気が小さいのか、そのように震えて、どうだ、のたうち回っているのではないのか。だから正体が見つかるのが怖いのだろう」

と見透かしているように牽制をし煽るが返答がない。

そのため“ドケッ!!”と大声で怒鳴り、一瞬ご相談者の魂から離れさせる。

どんなものでも大声で怒鳴るとビックリして捕まえている魂を離すのだ。

その隙に、ご相談者の魂を私の中に呼び込みナニガ憑いているのかご相談者の魂に聞いて見る事にした。。

「北野さむこ入ってこい。北野さむこ入ってこい」

とご相談者の魂を呼ぶ。

すると

「きき、きたのさむこでございます」

とご相談者の魂が入ってきた。

「お前は北野さむこか?」

「ささ、さようでございます・・・たた、タスケテいただけないでしょか?」

「今助けようとしているのだ。ところで、お前はどこにいるのだ」

「ここ、ここは・・・・くく、くびがいたいのです」

「クビが痛いとはどうのようになっているのだ?」

「く、くび・・・ああっ、真っ暗闇で」

「お前の体にナニカ憑いているであろう」

「へへ、ヘビでございます。大蛇のようなものが憑いております」

「大蛇か」

「さ、さようで」

「では、先ほど我の中に出てきたのは大蛇だな」

「そうです。たた、タスケテ〜」

「では、お前は地獄にぶら下げられていると言う事か」

「さ、さようでございます」

「では、お前が本当に北野さむこか確認する。お前の前世の仕事を言ってみよ」

今、喋っているものが本当にご相談者の魂か確認をする。

なぜか、と言えば、先ほども言ったように見えない世界のものは嘘が多いからである。

「ああっ、私が生きていた頃は、ああっ、私の父上がお侍様でした」

「侍か」

「ウウウウウッ(泣く)」

「今、そこにお前に巻きついていた大蛇はおるのか?」

「そ、それが今、突然体から離れたのでございます」

「体から離れたと云う事か」

「そ、そうです」

「では、少し待っておれ」

この時点では、ご相談者の魂は地獄の淵に落とされているもの、とばかり思っていた。

と言うのも、今喋っていたものがご相談者の魂だと思っていたからだ。

が実はこれも違っていたのだ。

“父上がお侍だった”という言葉に引っかかった。

それに大蛇は地獄の淵にしかいないため、大蛇といえば反射的に地獄を連想する。

またクビが痛いと言うのも、地獄の淵に落とされたものは皆、クビを吊られているから、そのためだと思っていた。

地獄の淵に落とされたものは、皆、何故か首を吊られているのだ。

あれほど注意をしたにも関わらず騙されたのだ。

がこの後本性を現すことになる。

「お前の正体が分かったぞ。お前は大蛇だろう」

この時はまだ騙されている。

「なに、だいじゃ?」

「お前はヘビだろう」

「カカカミじゃ」

「カミじゃ、とは云うがだんだん弱くなっているではないか」

声が最初に比べ小さくなる。

「カ、カカミ・・・ヵ、ヵミ」

「いいか、我は神じゃ、お前のようなヘビは簡単に吹飛ばすことができるのじゃ。お前、先ほど吹き飛んだだろう」

「ぃや、ナニも分からなぃ」

いよいよ、弱々しくなる。

念が効いてきたのだ。

「何も分からないと云うが、我の一喝で、先ほど離れたではないか」

「わ、わからない、ナニモワカラナイ」

「お前が幾ら嘘をついてもだめなのじゃ」

「ナニモ嘘は……..いっていない。それもわからない?」

「では、もう一度お前を飛ばしてやろうか」

「とばす?どこに飛ばす、どこに飛ばす!」

「どこに飛ばすのか分からないのか。もういい、いつまでも我の中に入っておれ」

終わりの見えない問答に少々疲れる。

が念は休むことはない。

ただひたすらクビを前後にガクガクやりながら続ける。

と「やや、ヤメテクレ!ヤメテクレほほ、ほんとうのことを、ヤヤ、ヤメテクレッ!!ヤヤヤヤャャャ・・・アグッ」

とうとう、しつこいほどの我が念攻撃に耐え切れなくなったのか、ヤメテクレーなどと叫び声をあげる。

一時は、このナニモノかの言う事を信じ“大蛇”ではないか、とまで思ったが違ったようだ。

しかし、これが怨霊だとすれば良くここまで耐えられたものだ、と感心する一方、スゴイ!!の一言だ。

たとえ正体を隠すためとは言え“大蛇だのカミ”だのとよくぞ言ってくれたものだ。

が、それも自分の正体を隠す為の精一杯の詭弁だった、と思えばなんという事もない。

一声大きく叫んでいた苦しみに喘ぐ声も次第に治まったところで本格的に“なぜ”の追求に入る。

「北野さむこ入ってこい」

とあらためて呼ぶ、が入ってはいるのだが、やはり先ほどと同じようにダンマリを決め込む。

まだ、この何とも知れない正体不明(私)のものの前で自分の姿をさらけだしていいものか、と恐れおののきながら迷っているのだ。

だが、この時点で初めてこれは“怨霊”だと、私は確信する事ができた。

「グウッ!」

「どうだ、苦しいか!苦しいのか、と聞いているのじゃ、まだ返事はしたくないか。お前が何に化けようとも怨霊だと分かっているのだ」

「ウウッ!」

と断続的にだが、まだ呻き声をあげている。

私のガクガクする姿を目の当たりにして

『これは凄いですねー、物凄く大変』

と前で見ているご相談者も思わず声を漏らす。

「どうだ、疲れたか?お前が出てくるまでは許すことはないのだ。どこまで逆らってもかまわない」

と喋りかけても何も返答はない。

『大丈夫ですか?』

とご相談者が私に気を使う。

「大丈夫と言われても倒さない限り休む事はできませんよ」

と、やんわりとお答えする。

この時、念を入れ始めて既に35分経過。

「ウッワー、ウウウウッ…….ううっ、まけました。おお、おやめくださいませ…オヤメクダサイマセ、ウウウウッ」

初めてまともに声をだす・・・とうとう精根尽き果てたのだ。

負けを認め、咽び泣きを始めた。

やはり怨霊だった。

「負けたか?」

「いえっ、まま、マケマシタ….アアッ、アッ、ハァッハァッ(息)・・・ス、スゴイ!ま、まけました!どうか、どうかおゆるしください」

「よし、では、これから我の聞く事に素直に応えるか!」

「なな、なんでしょう?しし、しばらく、しばらくやすませてくださいハァー、ハァー、ハァー・・・・」

「そうか、疲れたか、では暫く休ませてやろう。休むがいい」

「ああっーありがたい・・・・」

………………………*:*・・・・・・・・・・・・・・・・・

数分後

「おい、もう喋れるか」

「しゃ、しゃべるまえに、まだからだじゅうがいたくて、痛くてたまりません」

「どうだ、我の念は効いたか?」

「効くも効かないもありません・・・もうカミナリの、すごーいのが、体中ガンガンガンガン落ちて、はぁ〜本当に体中がバラバラになるような衝撃が、もうタエル、タエられないアアッ・・・ウゥフゥフゥフゥ〜(ため息)もうちょっと、もうちょっとゆっくりさせていただけないでしょうか?」

「お前が全て喋るならもう少しゆっくりさせてやる」

「ああ、ありがとうございます」

と言って又、休憩に入る。

やはり凄いエネルギーが体中に直射していたのだ。

私も疲れたが、この怨霊の凄い精神力に敬意をはらい休むことに同意する。

果たして前世で何があったのだろうか?

体がバラバラになるような衝撃を受け、ここ迄耐えるとは。

余程の屈辱、悔しい、痛い、悲しい、寂しいと幾ら切ない言葉を並べ立てても述べきれないほどの思いをし、死に至ったのではないだろうか。

休憩後

「もう大丈夫か?話はできるか?」

「もう、しゃ、しゃべれる、ありがとう、ありがとうございます」

「では、今から聞くが、お前は前世で何をしていたのだ」

「わわ、私は、コジキでございました」

「なに、乞食だったのか」

「ささ、さようでございます」

「お前、乞食がなぜ、この女に憑いているのだ」

「こ、この女に憑いている、と云うよりも、私サムクテ、寒くて・・・・雪がシンシンシンシン降っている時に私はみんなと一緒に“お、おめぐみを〜〜オメグミヲ〜〜”と、一軒一軒お屋敷を廻っておりました。そして、その時はどこのお屋敷に逝っても木戸を開けてもらえず腹をすかせて、それでもナニカを頂かなければ死んでしまいますから、サムクテ、寒くて凍えながら、やっと、この女のお屋敷に着き、木戸をトントントントン叩いたのでございます。何回叩いても誰も出てこなかったのですが、それでもナニカ“おめぐみを〜〜ウウウウッ(すすり泣く)おめぐみを〜〜”と言う気持ちで、縋るようにして木戸をトントントントン叩いたのでございます。そうしてたら木戸が開いて出てきたのが、この女です」

「この女と云うが見えているのか?」

私の前に座っているご相談者。

「みみ、みえております」

「どこからお前はみているのだ?」

「どっから?こちらからみているのでございます。みえるのです」

怨霊の棲む林から人間界をみている。

「みえるとは?どうしてだ」

「私の前にま−るい窓のようなものができて、そこで、私今震えながらみているのでございます。体が痛くてガタガタ震え、あなた様の声を聞いていると、突然違う景色が表れて、そして、その景色をみるとこの女が目の前におるのでございます」

「そうか、しかしお前は、この女(魂)を捕まえているのではないのか?(向こう側で)」

「さ、さようでございます。ですが、これとはまた別に窓がみえて、そのまーるい窓の中に、これが居るのです」

この怨霊が言わんとしている事は、怨霊の林で、ご相談者の魂を捕まえているが、突然、目の前にまーるい窓のような空間が出来、そこを覗くと、こちら側がみえた、という事なのだ。

窓とは言っても建物にある窓ではなく、怨霊の目の前にポッカリとまーるく違う景色の空間ができる事を言っているのである。

それをマドとしか例えようがないから言うのだ。

これは、どの怨霊も“窓からみえます”と云うような言い方をする。

「で、木戸を叩いてどうしたのだ」

「いや、木戸が突然開いて“あなたがた、向こうに逝きなさい。汚いから向こうに逝きなさい!”と言われたものでございますから私、“おめぐみをおねがいいたします。おねがいいたします”と言ったら、そこに待っておりなさい、と言われ、ずーっと待っていたのでございます。寒くてサムクテ震えながら待っていたのでございます。ウウウウウッ・・・そうして、あまりにも遅いものですから、また木戸をトントン叩いていたらナニカ持って来たのでございます 。そ、それでやっとおまんまにありつけ、やっとおまんまをいただけるのだと頭を下げて、ジーット下を向いていたら、突然頭の上からナニカがかかってきて、ウワーと想ってみたら、アツイ!熱い、アツイ熱湯がアア、アタマからかけられたのでございます。ウウウウワ〜とビックリして、と、飛び退いたら”コジキ、カエレ!カエレ!”ウウウウワアアアアッアアアア(泣き叫ぶ)と言われウウウウッ私、体中大ヤケドをして、そのまま這って、ハッテ、やっと川原にた、辿りついたのでございます・・・そして川の水につかると、今度はサムクテ寒くて・・・・そそ、そのまま気がついたらこっちに来ていました・・・ああっ寒くて寒くて、暑くて、アツクテ、サムクテ、サムクテサムクテ、アアアアッ今もさ、さむいんで、暑くて、ァァァァクヤシイ!!クヤシイクヤシイ……ああああっクヤシイィィ!!ンンンッァァァァァ」

「お前はところで男か女か。どっちだ」

女のような高い声で話すためきつくなり聞いてみた。

すると

「わわ、わたし、女でございます」

「お前は女なのか」

「さ、さようで、ク、クヤシイ〜、ノ・ロ・ッテ・ヤル、クッソォ!!ゥゥゥノ ロッテ ヤ ル!のろい、呪い殺して、呪い殺してぅふふふふ(不気味笑い)えへへへへ(声も不気味に変わる)xxxwwww声が聞き取れない」

「ところで、お前の前に男がいただろう」

「オサムライ様、おりましたね〜、おさむライ様はこやつにくっついておりましたが、私はこやつの腰にぶら下がって、こやつに苦しめられた復讐をしている。コシから離れずにくっついておりました。そして、おサムライ様がちょっと気を抜いた隙に私がこやつの中に入りキキキクククヒヒヒヒ、 ワタシガこいつをコジキの、こじきのキモチヲ、お前もアジワエ、あじわえアハハハハこやつに、コジキの、こじきの真似をさせ、よくこやつに私のマネをさせ、乞食が食物をムサボリ喰うようにこやつにも貪り喰わせ、突然サムサ、突然アツサ、それでも”くわなきゃ、くわなきゃ”と喰わせ、そして喰えばあたる、喰えば苦しい、クエバクルシイ、サム〜イ、アツ〜イサム〜イ、クルシイ〜、私がクルシ〜のと同じようにあじあわせております〜」

「よし、わかった。少し待っておれ」



今、喋ったような事を感じたことはありますか?

『・・・寒いと云うのはあるんですけど』

寒さ、暑さ、物凄く何かを食べたくなると言うような飢餓の状態になったとかはないですか?

『はぁ、飢餓はないのですが、寒いと言う、寒さはかなり、食べたいと云うのはあまりないかなぁ、食べちゃいけないと云うのはあったけど』

では、この怨霊が喋った事に“ああっ、そうだなぁ〜”と言うように思うことはありましたか?

『あっ、それはあります』

では、間違いなく、これはあなたに憑いているやつだと思いますか?

『はい、なんか寒いと言うのが凄い、それは分かるので』

と、この女が憑いていると言う事はご納得した頂けた。



「おい、では、もう一度聞くが、この女にお前たちと同じように乞食のような気持ちにさせていたと云う事か?」

「ささ、さようで、本人は自覚がないのかも分かりませんが、しかし傍から見たものは“この人はなに、何日も食べていないの、この食べ方は、ほんとおかしい?なに、この食べ方は”というような感じを持っていた筈なんでございます。それは私がさせておりましたから、もしこの女が私の喋ったことを“そう言うことはない”と言うのでしたら、どうか私をおはなしください。そうしたら私はまたこやつに、もーっとわかるように、もーっとわかるようなコジキにさせてやりますから、おお、お願いいたします。どうかもう一度、そう言うことがあったか聞いてみてくださいませ。もし記憶がない、記憶がないと言うのなら、どうか私はこの女に憑いているものではないとして私を離してくださいませ、おお、お願いいたします」

「よし、分かったもう一度聞いてみよう」



如何ですか?今言っている事に関しては............

『・・・・食べたくてしょうがないと云うのはないです。うーん正直半分くらいかなぁと思って』

では、やはり感じる事が少しはあるという事ですね。

『そうです・・・うーん(考え込む)』

いや、なければないでいいのです。これは、そのままにしておくだけですから、でないと私も言いようがないものですから。

怨霊は知らないと言えばそのまま離してほしいと言っていますから、貴女が知らないと言えば、この怨霊は貴女には関係ないものとして離します。

この乞食が話しているのは、今、ということではないのですよ。

これまでの40年間で、侍が休憩して離れた隙に入ってあなたを操っていたということです。

怨霊からすると、前世で殺された時からあなたに憑いているわけですから、憑いた時からあなたの魂は年はとっていないし、人間界の、あなたが何時、子供から大人になったのか、等と云う事も当然分からないのですから。

『そうですねー・・・はい』

素直になり、本当の事を言わないと、ここに見える大体の人は、最初は“いえ、そんな事はないです“と恥ずかしさもあり否定しますが、最終的には皆さんお認めになりますよ。

で、なければ怨霊を除ける理由がなくなりますから。

あなたに憑いているものとして、如何ですか?お認めになりますか。

『はい』

と怨霊の喋った復讐をお認めになった。

しかし、今回の、この乞食が、呼び込んでもいないのに何時私の中に入ったのか、と不思議だったがやっと訳が分かった。

ご相談者の、魂(魂とはこちら側の言葉で、向こうでは人間と同じ姿、人間なのである)の腰にぶら下がっていたと言う事で、侍を呼び込んだ時に一緒について入って来ていたのだ。



「おい、もう一度聞きたいが」

「な、なんでしょうか?」

「今、お前は寒いのか?」

「さ、サムイ、寒くて、暑くて…..ァァ、クヤシイ、クヤッシイ・・・ただ、くやしいだけでございます」

殺されたものは死んだ時と同じ状況のまま過ごしている。

だから熱湯をかけられた時の暑さと、水に入った時の寒さが同時に襲ってくるのだ。

「おい、今お前が喋った事は記憶にあると言っているぞ」

「さ、さようでございますか、キオクにないと言ってくれた方が私は嬉しかったのです。こやつに記憶がなければ私はまた、クルシミを、苦しみを、クククのたうちまわって乞食になるように仕向け、本物の乞食にさせてやろうと、そして“おめぐみを〜〜おめぐみを〜”と私と一緒になってお屋敷を廻るようにさせようと想っておるのでございました」

「そうか」



あなたを最終的には乞食のようにしてやる、と云うことのようだったのです。

『えっ、怖いです。困ります。困ります』

とご相談者。



「お前は寒さに震え、熱さに耐えられず、それに頭を火傷しているのだろう」

「さようです・・・クク、クヤシクテ」

「そうだろう、よし今から我がお前のその体を治してやろう。そしてお前をふる里に帰るようにしてやる。どうだ?」

「そ、そのような事ができるのでしょうか?こ、この寒さから逃れられるのでしょうか?」

「そうだ。もうこれからは乞食ではなく普通の人間として上で暮らす事ができるようになるのだ」

「そ、そのようなことまでしていただけるのでしょうか?神様オオオオ」

「そうだ。我の言う事を聞けばしてやる。ところでお前に聞きたいが、この女には、もう何も憑いていないか?ちょっと周りをみてくれ」

「まわりをみてくれと言われましても、ここは暗くて良くみえないのでございます。だけど、こう、この女、もう地獄でございますよ。さっきのお侍様も言っていたけど、突然離れた時に、これは地獄に落ちると、それを私が捕まえているだけでございます。ですから私がいなければ、もうそのままジゴクに、地獄に落ちたと想います」

「そうか、もう地獄に落とされているのか。しょうがない。だが、もう後の心配はしなくていい。今からお前の体を治し普通の人間にして上にあげてやろう。上にあがればもう乞食ではなくなるのだ。どうだ、それともこの女にいつまでも憑いておりたいか」

「いえいえ、私も、もしかみさまが言われたように私普通に、もうこの寒さから逃れられるんでしたら、どうかそのようにしていただけないでしょうか」

「よし、お前が本当にそのように思うのならそうしてやろう。次にまた生まれ変わる時には乞食ではなく、普通の人間として生まれるようになるのだ」

「ああ、ありがたい、ありがたい、有難うございます」

「よし、ではそこで待っておれ」

「アアアアアァアァァァァ・・・・」

「そこにおるのか?」

「ははい、早く、早くおねがいします」

「よし、分かった」

と言う事で、早速立ち上がり、両手を動かしキズを治す術を始める。

すると

「ウワーッ、ギャギャギャグググググワーァァァァァァアアアアッwwwwwwwwww」

という声を放ち私の元から消え去った。

熱湯で火傷した形跡もなく、綺麗なおべべを着て、多分無事にふる里に着いたであろう。

次に誕生するときには、ふつーのどこにでもいる可愛い女性となって生まれてくるのではないだろうか。



やっと激しい戦いに幕が落とされた。

まさか、これほど前世の因縁相手に手を焼くとは思ってもいなかった。

今回、正体不明だったものを白状させるまでに要した時間は30数分。

良く念に耐えたものだ。

これほど根性のある前世の因縁、怨霊を抱えているご相談者はあまり、と云うか滅多にいないだろう。

初めに、お電話でお話した時に“自分は地獄に落ちているのでは”とまで言わしめていたのだから。

そこまで精神を追い込まれていたからこそ、遠く新潟から別府の地まで救いを求めやってきたのではないだろうか。

『あっち(新潟)ではだめで、やっぱしこっちに来るしかないと思って』

と言っておられた。

だが、遠く当方(別府)までお見えになると言う事は、ご自身の魂の叫び、苦しみが顕在意識に伝わり”助かりたい”と言う一心からだったのだろう。

しかし、初めに出た、前世の夫もわりと強かったが、この乞食はその比ではなかった。

化け物を彷彿させる程のエネルギーが出ていた。

憎しみのエネルギーとは、人間を化け物にも変容させる程の爆発力を生む、と言う事が今回の怨念で分かった。

さて、次は乞食の言っていたように、ご相談者の魂は本当に地獄に落とされているのであろうか?

このことを確かめなくては私の仕事は終わらない。

と言う事で、あらためてご相談者のお名前を呼び、魂を私の中に呼び込むことにする。

だが、ここでナニモいなければご相談者の魂が入ってくる、と言う事で、万一まだナニカがいるとすれば、そのナニカが先に入ってくる。

では早速お名前をお呼しょう。

お名前をお呼びしてもなかなか入ってこないようであれば、まだナニカがいると思っても間違いはない。

何もいなければすぐに入ってくる。

「北野さむこ、入ってこい!、北野さむこ、入ってこい!」

と呼ぶとすぐにナニカが入ってきた。

と言う事はご本人の魂に間違いはない。

ご本人の魂が私の中にはいって来たと言う事は、ご相談者の心に潜んでいるものは、もはや完全にいなくなったと言う証である。

冒頭に訴えていた対人恐怖症や、アレルギー性の免疫異常、足のムズ痒さなどは、先ほど出した、二霊の前世の因縁(怨霊)が原因だった、と思わせる二霊の証言があった。

今後、これらの症状に少しでも改善の兆しが現れれば幸いだ。

が万一魂が地獄の淵に落とされていれば、数日も経ずに化け物に憑依される事になる。

すると、今度は新たな霊障に悩まされる事となる。

では、地獄に落とされていない事を期待して、ご相談者の魂から状況を聞き出すとしよう。

私の中に入っている魂に

「お前は北野さむこか?」

と聞く。

すると

「ああ、北野さむこでございます」

「先ほど呼び出したとき、出てきたのはお前だったのか?」

「さきほど、わたし?わたしが出たのですか?」

「そうだ。先ほど出た時、北野さむこと言ったではないか」

「いえ、私はここにおりますから、初めてあなた様のお声をお聞きしました」

「そうか、そうだったのか、ではそこはどこなのだ?」

「ここは、もう何か分かりませんが、私の足の上をナニカが、ムズムズムズムズ這うのです。もう痒くて痒くてしょうがないのでございます」

「足にナニカが這っていると云うのか?ならば、何が這っているのか見ればいいではないか」

「そ、それがみえないのでございます。私、両手を後ろで縛られて、首にはナニか、縄のようなものが巻きついていて苦しいのでございます」

「そこの足元はどうなっているのだ」

「あ、足元はなにか、ヌルヌルしていて気持ちが悪いのです。足はモドモドして」

「ところで、お前はいつからそこにいるのだ」

「い、いつからかは分かりません。気がついたらここに」

「それまでには、他のものが憑いていたのではないのか?」

「わたし、何が憑いていたか?もうズーット体中にナニカにまとわりつかれておりましたから、分からない。ただ、もう苦しくて苦しくて、誰か助けてくれる人はいないかと、どこかにいないかと」

「今は、どうだ」

「今は、もう何もいないのですが、足がムズンムズして気持ちが悪くて、ここは血なまぐさい匂いがして、もう気持ちの悪いところでございます。顔とかにも、周りはザワザワしており、もう不気味なところでございます」

「そこは、地獄ではないのか?」

「ここはジゴク?地獄でございますかね〜、私が気がついたときには、何か山の中(怨霊の林)のような感じだったのですが、今は首をくくられております」

「そうか、それならそこはやはり地獄なのじゃ」

「ううっ、地獄でございますか・・・ああっ、苦しくて苦しくて、足はヌルヌルして、た、助けて頂けないでしょうか?」

「お前は、腹は悪くはないのか?」

「お腹でございますか?」

「そうだ、お腹は悪くはないのか」

「お腹も悪いのでしょう。お腹が冷たくて冷たくて、何かがずーっとお腹に乗っているような感じで、だからでしょうか苦しいのですよ。体は暖かいのですがお腹が物凄く冷たくて……タスケテ、タスケテ〜」

「そうだな、ところでお前は人間界はみえるのか?」

「人間界でございますか、ニンガンカイ?私、目を瞑っているから分からないのです」

「お前へは人間界に生まれているのは知っているのか」

「ああっ、わたし、私が人間界に降りているのは知っています。だから私が、こんなに苦しいのは、人間界の体も私と同じですから苦しいと想っております。多分苦しいのではないでしょうか。私が楽にならない限り、人間界の体も苦しいと想います」

「そうか、ではお前は、人間界は全くみえないのか?目を開けてみればいいではないか」

「目を開けるのが怖いのです・・・た、た、助けて、助けていただけないのでしょうか?ここから助けて頂けるのでしたらなんでもしますから、どうか助けてください」

「よーし、分かった。今、我は人間界のお前と話をしているのだ」

「さ、さようでございますか、それでは私と同じでありますから、お願いします助けてくださいませ」

「人間界に居るお前(ご相談者)が助けてほしいと言えば助けてやる。それまで我慢をしておれ」

「も、もう一日も早く助けて、タスケテ〜」

とご相談者の魂は叫ぶ。

先ほどの乞食の言ったように既に地獄の淵に首を吊られた状態でぶらさげられていた。

ヌラヌラとした血の海地獄の淵に。

私としても助けてやりたいのはやまやまではあるが、ご相談者がご先祖さんとのご縁が切れるのを不安視して、地獄から引き上げて欲しいとはお願いにならないのだ。

ご縁が切れるとは、魂の頭から先祖へと伸びている紐を切らなければならないからだ。

紐を切ると言う事は、先祖との縁が完全に切れることを意味する。

地獄の淵から助けるには、天国の入口まで魂を引き上げるしか方法はない。

天国の入口に入れば紐を切ることになる。

それでどのようにすればいいのだろうか?と迷っておられるのだ。

しかし、迷ったところで、地獄に落ちていてはどうせ先祖とは縁が切れたも同じなのだが。

どちらにしても天国の入口に入らなければ助からない以上致し方ない事である。

天国の入口に入ると言う事は、今後二度と霊に憑依される事も、霊障に悩まされることもなくなるという事なのである。

当然、死後はそのまま天国に入る事になる。

究極の極楽の世界へ。

故に、ご相談者の魂が天国の入口に入ると言うことはご先祖さん方とは完全に縁が切れる事になる。

これまで毎日、ご先祖さんに手を合わせてお祈りしていたのに、自分だけ天国に入るのは申し訳ないとお考えになっているのではないだろうか。

しかし、地獄に落ちると言う事はご先祖さん方にとっても大変な事態に陥った事になる。

何しろ、いつ自分たちも地獄に引きずり込まれるのか分からない状況になってしまったのだ。

それは、先ほど述べたように、ご相談者の魂の上に先祖へと繋がる、ほそーい紐が伸びているから逆に下に引っ張られると地獄へと落とされる可能性が生まれたのである。

いつ、この紐が引っ張られるかと、今頃ご先祖さんたちは戦々恐々としているのではないだろうか。

そうなると多くのご先祖さん方が地獄への道連れとなってしまう恐れがある。

ご先祖さん方を想う気持ちが逆に仇となりかねない。

と言う事で一刻も早くご相談者様はご自分の魂の置かれたお立場をお考えになる必要に迫れるているのではないだろうか。





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