自閉症・心霊なんでも相談室
心霊なんでも相談室

 今回のご相談者は65歳の男性。

私のホームページをみてメールを送って来られたのである。

下記に添付しているのが、ご相談者の切実なご相談内容である。

そして、翌日、ご夫婦でお見えになった。

まず、下記のメールをお読み頂きたい。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~***********~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~

宇宙総師 様 私の家族は、母(養護老人ホ−ム)・妻の三人暮らしです。

母は早朝4時に金縛り状態にになり、壁やベットの縁に頭をぶっつけるそうで自分で止める事が出来ないそうです。

施設の方が止め用としても本人の力とは思われないそうです。

本人も誰かからされているので、どうにもならないと言っています。

又妻はパーキンソン病で治療を受けていますが、最近腰が曲がり杖か歩行器を使用しています、又うつの症状が出てきました。

私は腎臓に石が有り衝撃波治療で4週間入院治療をしましたが、どうにもならず 医者からしばらく(6月程度)退院して様子を見ましょうと言われました。

最近疲れが易くすぐに眠ります。

私の家族に何かあるのではないでしょうか。

先生に見て頂きたく連絡します。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜****************〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

上記の内容からすると、お母さん(90代)、奥さん、ご主人(メールの主)と、ご家族の皆様、全員が霊的作用に侵されているようである。

まず、お母さんを金縛りにかけ、壁などに頭を打付けさせる、などと云う奇妙な行動をさせていると思われるモノを私の中に呼び込み事情を聞いてみる事にしよう。

このような行為をさせるものと云えば前世の因縁しかいない。

前世で一体どのような酷い仕打ちに合って、このような行為をさせるに至ったのだろうか?

まぁ、要するに前世の復讐であろうが。

では、お母さんのお名前を呼び、お母さんの魂に纏わりついているであろう因縁を私の中に呼び込み一問一答を試みる。

その問答の全てを記載する。

「加部加奈子入って来い!加部加奈子、入って来い!」

と呼ぶと直ぐにナニカが入ってきた。

入ってきたモノに

「お前は加奈子か?」

と聞くが、やはり私の首を傾げるだけで無視。

無視しているものに”お前は?”などと云う悠長な態度は私は示さない。

即刻、両手を頭上に掲げ天罰を掛ける。

すると

「グッウ!!ヤメヤメ、ヤメテ!ヤヤヤメロ!」

「ヤメロではない!やめてください、だろ!」

「ググッ、ウウウ、ワカリ、ワカリマシタ、ヤヤヤ、ヤメテいただけないでしょうか?」

「よし、では止めてやるが我の聞くことに全て応えるか」

「な、なんでも応えますよ。あ、あんまり乱暴な事はしないでクダサイマセ」

「乱暴ではない!お前が返事をしないから天罰を掛けたのだ」

「テテ、テンバツ?てんばつと云うのは、ああ、あなた様はどなた様でしょうか?」

「お前の頭の上を視るがいい」

「ああっ、頭のうえ?イヤッ!こ、このマブシイ、ウッワーー!このヒカリ、この光が、カミナリが私の上に落ちた、今、ガクガクしているところでございます」

「その光が我じゃ」

「ああっ、あなた様、ウワーッ、眩しい!神様でございますか?」

「さようじゃ、神じゃ」

「そ、そんなカミサマがなぜ、私ごときをわざわざお呼び出しになるのでしょうか?」

「お前を呼び出したのではない。加部加奈子を呼び出したらお前が出てきたのだろう」

「カベ?あっ、さ、さようでした」

「お前はなぜ、この加部に憑いているのだ」

「憑いている?ついていると云う訳ではございませんが」

「では、重なっていると云う事か」

あの世では”とり憑く”などと云う言葉は使わない。

「か、かさなっている?・・・さ、さようでございますね。ただ、重なっている状態でございます」

「では、お前は、この加部加奈子を前世から知っていると云う事か?」

「知っているも何も、私、この女に、こ、殺されたのですから」

「なに、お前殺されたのか」

「さ、さようでございます」

「では、お前は前世で仕事は何をしていたのだ」

「わ、わたしは、ハッキリ申して宜しいでしょうか?」

「おう、何でも喋るがいい」

「わ、分かりました。わたしは、今で云う人買いでした」

「ナニ、人買いか」

「さ、さようでございます」

「では、お前は女衒だったのか」

「えっ!デ、ゼゲン・・・うーん?ゼゲンと云うのとはまた、違うのです。女衒と云うのは私なんかとは違う(女衒とは女を売買する商売)うーん、どっちかと云うと、あのう〜、まぁ、ふろうしゃみたいな、何処にもいくあてのないようなヤツを、や〜すく買って人足のような作業に就かせる分けでございます」

「そうか、お前は浮浪者を買っていたのか」

「さ、さようでございます」

「では、お前はヤクザの下請けか」

「いや、ヤクザもんの下請けではございませんが、まぁ、その関係はありますねー」

「そうか、ではこの加部加奈子は何をしていたのだ」

「この加部加奈子と云うのは、これも小さい頃から、やはり両親が居らず、まぁ、なんと云うのですかねー、あのう〜、要するに捨てられていたとでも云うのですかね〜、ですから、小さい時から浮浪者のような感じで育っているのですよ。わたしは、これが小さい時から知っているのですが」

「では、お前はこの女の性格は良く知っているのだろう」

「セイカクと云うのか、これはですね〜、わりとあのうー、こう、本当は寂しいのでしょうけど、わりと愛嬌がいいのですよ。ナンカ、人と話す時に、ぽっと見た時には、人に甘えるように近寄ってきて、こう、にこにこ笑いながら愛想良く喋るのですよ、これは」

「愛想が良いと云う事か」

「そうそう、さようでございます」

「性格はどのような感じだ」

「セイカウと云うよりも、結局、本心は多分、あのう暗いのだと想うのですが、それを人に悟られるのが、やっぱしイヤなんでしょうねー、自分が捨て子だった、と云う想いがあるのではないでしょうか?ですから、うーん、内心隠しているんじゃないかな、と想うのですが、人当りと云うよりも、よくにこにこ笑っておりました」

「そうか、では少し待っておれ、それを確認してみる」

「えっ、カクニン?」

「そうだ、少し待っておれ」

今、お母さんの前世を喋りましたが如何ですか?

前世と何か共通するようなものはありますか?

とご相談者にお伺いする。

すると

『何時もにこにこしています』と云う。

やはり、にこにこと云う部分に於いては前世と少し似ているようである。

「おい、今、お前が喋った事の確認をしたのだ」

「か、カクニン?わ、わたし、ナンカ試されているのでしょうか?」

「そうだ、お前が本当に加部加奈子を知っているのか確認しなければならないのだ」

「さようでございますか」

「まぁ、これまでお前が喋った事は一応はあっているようだな」

「ああ、分かりました。じゃ私、認めて貰えたと云う事ですか?」

「そうだ、認めたと云う事だ」

「では、また今から聞く、加部加奈子は寂しいと云う気持ちがあったと云う事だな」

「さ、さようでございますねー、人前では中々、その性格を見せませんけど、私は小さい頃からみていて良く分かっておるのでございます」

「では、お前が殺された理由はなんだったのか」

「わたし、ハッキリ云って神様の前でこんな事を云ったら罰が当たるんじゃないかと想うのですが」

「大丈夫だ、お前が全て喋れば罰は当てない。良いか」

「わわ、分かりました。神様、私人間界にいた時も、何時もヤクザからいじめられていたのに、こ、こっちに来てまで神様から脅されるなんて、とんでもない!私、ビックリしているところです」

「お前は我に脅されているのではないだろう。お前が加部加奈子に憑いているからそうなったのだ」

「さ、さようでございました・・・・わ、私が間違っておりました。カミサマ、神様、どうかもうお許し下さいませ。私の欠点として良く喋ると皆から言われて、大将からも良く怒られていのでございます。も、申し訳ございません」

「そうか、良く分かった。では、お前はなぜ殺されたのだ。その、殺された理由が知りたい」

「私が、こいつに殺されたと云うのは、こいつ、私に何時も兄ちゃん、兄ちゃんと云って小さい時から憑いて歩いていたのですよ。そのうち、私こいつを”かわいい、可愛い”と想って、こいつを女房にしてやろうと想って、こいつに云ったんですよ”お前、わしの女房になるか?”と云ったら、こいつ”あっ、にいちゃん、にいちゃんのお嫁さんにわたしなるの?わたしいいよ”ちゅうから”おおっおう、お前可愛いからお前でいい”ちゅうたら”いゃ、にいちゃん、にいちゃんがそんなに云うのならわたし、あなたのお嫁さんになってあげるわ”と”そうか、お前ワシのお嫁さんになってくれるか!おう、よかった、よかった、よーし今夜からお前と一緒にねろうや!”ち云ったら”わたし、にいちゃんと一緒に寝るの?いやや、そんな、にいちゃんと一緒に寝るのなんか”と」

「おい、ところでお前はその時、年は幾つだったのか」

「わたしは、まだ16で、この女は10・・・1か2ぐらいだったと想いますね」

「そうか、お前たちの時代はそんなに早く結婚していたのか」

「私たちの時代は、結婚とか云うのは、私たちは浮浪者の世界ですから一般の社会の人間のように、こう、正式に結納とか、結婚とか云うのではございませんから、掘立小屋で私ら生活しているもんでございますから、どんな子供でも、まぁ女であれば、そのう〜一緒に・・・う〜ん、神様、そんな事、私に聞かないでクダサイマセよ、恥ずかしくて喋れないですよ」

「おう、そうか、分かった。お前が一緒になろうと誘ったのだな」

「さようでございます。そしたらこの加奈子が、加奈子と云うより、この女が”おにいちゃ、そんな事を云わないで、わたし、まだ子供なんだし””馬鹿!お前、子供でも大丈夫じゃ、ワシが抱いたらお前はもう大人になれる””いやいや、そんな、おにいちゃん馬鹿な事ばっかし云って”ちゅうから”よし、分かった。そげぇ云うならワシの女房にせんわい”ちゅうたら”いや、わたしをにいちゃんの女房にせんやったら誰もこんよ!にいちゃんのところに”ちゅうから”そうか、じゃぁもう一緒にねらんでもいいから、一緒に飯でも喰うか”ち云ったら”有難う、じゃ私、ご飯のおかず山に逝ってイモとか何か採ってくるから”ちゅうから」

おかずを山に取りに逝くとは、今では考えられない事であるが、当時に於いてはそれが当たり前の時代だった。

「お前たちの時代は喰うものがあまり無かったのだろう」

「喰うものと云っても、私なんかの時代は、もう雨が降ったらずーっと雨が降り続き、洪水になり百姓もなんも食べるものが無いんですよ。で、ですから私ら、いや百姓にしても皆、海があれば海のところに逝って魚を獲ったり、カニを獲ったり、山に逝ってイモを掘ったり、木の根を食べたりして生活をしていたのですよ。ですから、こいつも、何時も私なんかと山に逝ってイモを掘ったり木の根を食べたりして、食べれるものがあれば何でも食べていたものでございますから、私が飯を食おうと云ったら、こいつも分かっているものですから、もう、山に逝って何か掘ってきましょう、と云って逝ったのですよ。そして帰って、私はこいつと一緒に飯を喰って、その日は何もせずに寝たのですよ。そして、次の、次の日かぐらいにまた一緒になって、私その時酒を持って、酒を、もうちょっこと口に入れたら、もうめん玉が飛び出るような凄い酒だったんですけど、まぁそれでも浮浪者仲間で、勝手にみんなが創っているもんですから、それを貰って私も呑んでいたんですけど、そして私、あろうことかこの女を無理やりやっちまったんでございますよ」

「なに、お前は無理やりやったのか」

「さ、さようで、神様どうかお許し下さい。私たちの時代はもう、そんな世界でございますから、もう致し方ないのでございますよ」

「そうか」

「そしたら、この女が暴れて、暴れて大変だったんですけど、そのうちに、もう云う事を聞いて、そして私の女房のような恰好をしていたのです。だけどある時、酒を呑もうと云った時、こいつがまた”山に逝ってくるから”ち云って山に逝ってナンカかんか採って帰り、草とかなんか鍋で煮て食べていたのですよ。そして私酒、にいちゃん酒をのみよ、ちゅうから酒を呑んで、もう二杯ぐらい飲んだら、グウッー、グッワー、ウーとなってもう、もうそのまま口から血の泡を吹いてこっちに来たのですよ。今も口から血の泡を吹いているのですよ。結局、こいつに毒を入れられて、ウウッ、ウオーッウオウッ!(毒を呑んだ時の戻す素振り)・・・・い、今でも、もう口から血の泡が噴き出て、もう苦しくて、苦しくてもう堪らないのでございますよ」

「そうだったのか。毒を呑まされると相当苦しいようだな」

「苦しいなんちゅうもんじゃございませんよ。死んでも死にきれないとは、この事ですよ。ですから私、血を吐きながら、また死ぬんじゃないかと何時も怯えておりますよ」

「そう、また死ぬか?では、お前は復讐はどのようにしているのだ。加奈子に対する復讐だ」

「フクシュウ?復讐は、こいつはにこにこにこにこ笑って人に近づきやがって、可愛いふりをして、女房になるふりをして、私が無理やりでも何でも犯した後、私に毒を呑ませて殺したのですから、こいつも同じようにさせてやろうと想って、今でも人にはにこにこして近づくが、近づく割には、何時もこいつは人を騙すように私が仕組んでいるのですよ。ですから、こいつは今、人間界でも“あの人に近づくと何か無くなるからねー、あの人にはとりあわない方がいいよ。あの人は手癖が悪いよ”と云われるようにして、そしてこいつを皆から嫌われるようにしているのですよ。そしたら、こいつ、だんだん自分のした事(前世)が分かるようになってきたのか“人をみると怖い、人を見ると怖い!”と魘(うな)されるようになったのですよ。今では何時も頭を抱えて、そして頭をガンガン床につけたり、壁にガンガン打付けたりして自分のした事を後悔しておりますよ。それを自分でしているのは全く分からない。自分でしているのに分からないのですよ。私が分からないようにしているのですよ。そして頭をチチ割ってこちら(あの世)に来させようと想っているのでございますよ」

「そうか、では少し待て」

「わわ、分かりました」

今、喋っている事に対しては如何ですか?

とご相談者にお尋ねする。

と『あってます』と云う。

メールに書かれていた通りである。

「おい、ではお前は、この女をどうするつもりなのだ」

「どうするも、こうするもございませんよ。私、口から血の泡を噴いて、今でも苦しくて、苦しくてしょうがないのですよ。ですから私、こいつにも私と同じように毒のあるものを口の中に入れ、そして最後は血の泡を噴いて、こいつもこっちに来るように引きずり込んでやろうと想っておりますよ」

「そうか、ではお前はこの女もお前が死んだ時と同じようにな死に方をさせようと思っていると云うのだな」

「さ、さようでございます。こいつが、今人間界に生きているのと、私らが生きていた時代が違うようではありますが、だけど死に方は私と同じように苦しんで死ぬようにしますよ。そうしないと私の腹の虫が治まりませんから」

「おい、そらそうと、この女にはお前のようにまだ他に誰か憑いているのはいないか、少し視てくれないか?」

この、怨霊の棲む場所は山の麓のような木々の密集した薄暗い異臭のするところ。

そこで、次に憑こうと隠れているものはいないか、と尋ねたのだ。

「私以外でございますか?私、以外にはもういないのではないですかねー、いや、此処は暗くてあまり良く視えないのですよ。何かヘンなもの(首の無いものや顔が半分しかないもの、その他殺された時の姿のままのもの)がいっぱい居るのですがねー。だけど、もう居ないようですねー」

「そうか、ではお前は今も苦しいのだろう」

「苦しいちゅうもんじゃございませんよ。血の泡も腹の中で煮えくり返って、もうずーっと、もう腸まで、なんもかんも悪いですよ」

「そうか、お前が腹が悪いと云う事は、こ、の女も悪いと云う事だろう」

怨霊と母親の魂が重なっている為、怨霊が悪くなるとお母さんの魂も悪くなる。

「いやいや、私が、ギャーッと苦しい時は、この女もやっぱし苦しみに“クワッ!クワッ!”と咳き込んでおりますよ。そして“ウウッ、ウウッ”と唸っておりますよ。ですから私と同じ状態に入るのですよ。そして、ガンガンガンガン気が狂ったようにやっておりますよ(頭を打付ける)」

「やっておりますよ、と云うがそれはお前がさせていると云う事だろう」

「さ、さようでございます。気が狂ったようにさせておりますよ」

「そうか、分かった。では、お前のその苦しみを治してやろう」

「わたし?神様、私の苦しみを治して頂けるのでしょうか?」

「そうだ。治してやる。そうすれば楽になるだろう」

「おお、分かりました。神様、な、なんと、神様、お慈悲のある方でございますねー」

「そうだ、お前のようにくだらないものでも、そこで血を吐いて苦しんでいたら可哀そうだからな、やはり殺された側だから治してやろうと云う気持ちになるのだ」

「ああ、そうですか、ありがとうございます。ありがとう、ありがとうございます」

「では、そこに跪いておれ」

「えっ、ヒザマズク?わわ、分かりました。ちょっとお待ちください。私、足が萎えてしまって歩くのに歩けないのですよ」

「お前、足も萎えているのか」

[さようでございます。私、毒を呑まされて苦しい中で暴れたものでございますから、足を色んなところにぶっつけ、手も足も萎えて歩くのにやっと歩いているような感じでございますよ]

「では、お前が憑いている加部加奈子も同じなのか」

「いやいや、これもギクギクしておりますよ」

「そうか良く分かった。では跪けないなら横たわっておれ」

「よ、横たわってていいですか?」

「いいぞ、横たわっておれ」

「ああっ、ありがたきカミサマ、ではこうやっておりますので」

「おおっ」

「ああっ、ありがたき、ありがたき・・・・」

と云う事で、あの世で横たわっている、元ヤクザの治療を始める。

すると

「ウー、ウウウウウ、ウワー〜〜〜〜アー〜〜〜」

と云う一際高い声を発し一気に上に昇っていった。

やはり、ご相談者の母親が壁に頭をぶっつけるようにしていたのは前世で毒を呑まされ、殺された怨霊の復讐だったのである。

更に、先ほどの怨霊は“もう誰もいないようです”と云っていたが、さにあらず、まだ別の怨霊が隠れていた。

やはり暗くて周りが良く視えなかったようだ。


では、次に隠れていた怨霊を呼び出すとしよう。

「加部加奈子入って来い。加部加奈子入って来い!」

と呼ぶが中々入っては来ない。

先に居た怨霊が突然居なくなった為、不審に想って隠れているのだ。

もしくは母親の魂を連れ、木々の間を縫うようにして走って逃げているのであろう。

ナニモ出ない、と云う事は逆に居る、と云う事でもある。

其の辺りの事情に詳しい私は、それでもしつこく呼び続けているとナニカが入って来た。

だが、やはり無言である。

がそれも想定内の事。

そこで天下の宝刀“念”を抜く。

念を抜くとは頭上に両手を翳す事。

すると

「ウギャー!ヤヤヤ、ヤメテクダサイ、アウアウアウアウア、ヤヤヤヤ」

「ヤメテほしいのか!」

「ヤヤヤ、ヤメテクダサイマセ、ごめんなさい、やめてくださいませんかねー」

「お前は男か女か、どっちだ」

「おお、わたしおんなでございます」

「女か」

「ささ、さようでございます」

「この、加部加奈子との関係を云うがいい」

「このう、この女はわたしたちの姉貴分でございます」

「なに!姉貴分?アネキ分と云う事は、お前も浮浪者だったのか」

「えっ、フロウシャ?浮浪者ではございませんが、まぁ、浮浪者と云えばフロウシャですか」

「お前は年は幾つなのだ。殺された時の年だ」

「わたしが殺されたのは、まだ七つか八つの時でございます」

「なに、七つ、八つで殺されたのか」

「さ、さようでございます。だから、もうわたしをいじめないでください」

「そうか、分かった。もういじめない。では、お前が殺された時には、この加奈子は幾つぐらいだったのか」

「あ、アネキはわたしより…うーん、五つぐらい上だったのですかねー?」

「五つ上だったのか」

「そう、そう、さようでございます」

「では、お前は何時も、このアネキと遊んでいたのか」

「あ、あそんでいたと云うより、わたしたち、このアネキの子分でございました。このアネキはわたしたちのような子供を何時も連れて歩いておりました」

「では、このアネキの性格は知っているのか」

「せ、せいかく?性格と云うよりも、ナンカわたしは分かりませんが、このアネキは、アネキでございますからアネキの云う事をわたしたちは“ハイ、ハイ”と聞くだけでございますから、セイカクとか云ってもわたしなんか、理解?と云うよりは分かりません。アネキは何時も“あんた、あれやりなさい!あれやりなさい”と、何時もこう、命令しかしないのです。けど、時々優しくしてくれて、わたしの頭をなでてくれたり、ほおずりしてくれたりとかして優しいのです。だけど普段は“あれしなさい、これしなさい”と、何時もわたしなんかテゴですから、ついてまわっちゃアネキの云う事を聞いておりました」

「そうだったのか、ではお前は殺された、と云う事なのか」

「そ、そ、そうなんですよ。わたし、このアネキからザンパンを、ザンパンですかね〜、あのう〜コジキたちが皆、“おめぐみを〜おめぐみを〜”と云って歩くのですよ。わたしなんかアネキから“わたしたちもおめぐみに行こう”と云われ逝っていたんですよ。そうしたら、コジキなんかから云われたんですよ。コジキにも縄張りがあるんですよ。“こっから、ここまでは誰々が周るところじゃ、こっからここまでは誰々じゃ”ち、わたしたち、コジキの真似をしたのは初めてでございますから、分からないで逝ったんですよ。そうしたら“こら!!お前たち、どこの縄張りを荒らしているのか!”ち云われた時に、アネキが“ごめんなさいね、私なんかナニがあるのか分からないから、ごめんなさいね”ちゅうたら“そうか、お前たちは、飯はもう喰ったのか?”と訊かれ”い、いや、もう飯は三日、四日もう何も食べていないのですよ。ですからわたしたちは、おめぐみをして貰わないと、もう生きていけないものですから”ちゅうたら、向こうのコジキが“じゃ、わしたちに憑いてこい”と言われわたしたち、そのコジキの親分の後をごぞごぞ憑いて逝ったんですよ」

「その時は、お前たちは何人いたのだ」

「あと、わたしより二コ上の人と、まぁ、わたしが一番下ですから、三、四人ぐらいかな、そうして、向こうのコジキが、やっぱー、三人ぐらいいたから、皆ぞろぞろ憑いていって大きなお屋敷のところで“おめぐみを〜、おめぐみを〜”とみんなで“おめぐみを〜、おめぐみを〜”と云ったら、そこの小僧さんが、小僧さんと云ってもオニイチャンですが、わたしたちからしたら、そうしたら出てきて“おう!お前たち今日はえらい多いなぁ”ちゅてビックリして“すいません〜”ち、親方が云うて“こいつらも飯を喰っていないもんで”ちゅうて“そうか、おっ、また小さい子がおるなぁ”ちゅて私の顔を視て“おっ、お前もコジキか、可哀そうに、可愛そうになぁー、ちょっと待っておけ、持ってくるから”ちゅうて、そして奥に入って暫くしてバケツのようなものにナンカ腐ったような、汚いようなもので“これ、ナンカ臭いわっ”ちゅうようなものを持ってきたんですよ。それでもコジキの親分は“おっ!こうーらもう〜美味しそうなご馳走!ありがとう、ありがとう”と云って、そしてそれを頂いて、コジキの家と云うのは河原にあるんですよ。そこに掘立小屋を建てて、そしてそれを鍋に入れてどんどん火を燃やして食べるんですよ。そうしたら臭みも無くなって、もう魚の骨とか頭とか野菜の根っことか、もうクズばっかしがいっぱい入ってて、コジキはこんなものを喰うのか?と、わたしも初めてですから、こんなもん?わたし、フロウシャでしたけど、わたしなんかヒャクショウのところにいっちゃ、お百姓さんが山でイノシシとか獲ったものを頂いていたりしていたものですからこんなもん食べれるか!ウッ!ち想いながら食べて、そうしたらアネキが“あんた!ゴチソウを頂いているのに、ナンカそれは”ちゅうたから、わたし“ウイッ、ウイッ”ちなってもう、そうしたらアネキが“ちょっと来なさい”ちゅて、そうしたら河原の向こうが崖になっていたんですよ。そこに連れていかれ“お前死ね!!”ちゅてわたし、蹴落とされた…..もうそうしたらコジキの親分かなにかが向こうで喋っておりましたらネエサンが“いや、こいつ落ちたんですよ”とか云いやがって、わたし下に落ちてガタガタ震えて“アネキ!〜、タスケテ〜、アネキタスケテ〜!”とアネキに云ったんですけど、アネキがそのまま居なくなっても私はずーとそこに居ったんです。その時は寒くはなかったのですが、まぁ物凄く怖かったんです。犬が、もう“ワーオ〜ウワオー”ち鳴いているし、犬に喰われるんじゃないかと想いながら“アネキ〜、アネキ〜”と呼んだが、とうとう誰も来ないまま私、こっちに来てしまったんですよ。ですから、今も体が痛くて、頭はガンガンするし、そして恐ろしくて…….何時もビクビクしてアアッ、誰か!ダレカ!アーと何時も叫んでおります」

「そうだったのか。お前は姉貴から突き落とされたと云うのか」

「そうそう、さようでございます。私みたいな子供が突き落とされて、何も出来ないままこっちに来て・・・・今もクルシンデ・・・・」

「そうか、ではお前は、このアネキが憎いのだろうなぁ」

「ニクイ?にくいと云うより本当はアネキをわたしは好きなんですけど、だけど、だけど殺されたから、アネキにも少しは痛みを分かってほしいと想って憑いているんです」

「では、どのような事(復讐)をしているのだ」

「わたし、体中が痛くて、頭もイタクテ、ですから私と同じようにしているのです。ですから、これは、私なんかがフロウシャだった時の事を想い、これも少しは感じているのでしょうが、今人間界に居っても、もう横になったままの、もう生きる屍状態にわたしがしているのです。ですから、これもう、可哀そうとは想うのですが生きる屍ですよ。わたしが、こいつに憑いている時は、生きる屍、もうなんでんかんでん、しかぶったり(大小便を垂れ流す)、もう、ただ汚い、汚い、もう他の人が視ると“わーっ、キタナイ人だなぁ、この人は、臭い女の人だわー”と云って避けるようにしているのですよ。わたしなんかは、そんな汚い、臭い想いをしておりましたから、ですから、そしてわたしは、ここで孤独でガタガタ震えておりますから、この女もわたしが憑いておる時は、これも何時もガタガタ震えておりますよ。震えると誰か周りに居る人間が“あっ、このヒト、ばあちゃん”ばあちゃんか何か知らないけど震えているけど”何があったの?どうしたの、寒いの“とか聞いているけど、これは訳が分からない。”いや、寒くはない。ナンカ体がフルエテ震えて、頭も痛いし、ああっ、体がオカシイ?どうして私はこうなんでしょうか?“とか良く云っておりますよ」

「そうか、ではそれも確認をしてみよう」



今、喋った事については如何ですか?

とご相談者にお尋ねする。

<・・・・・そんな事は分かりませんが?>と。



「おい、それは分からないと云っているが」

「ワカラナイ・・・ふーん?分からないと云うよりもわたしは、このアネキに憑いていた人が(初めの)居ない時にわたしが入るもんですから、ずーっとこれにとり憑いている分けではございませんから、わたしが入った時にだけそのようにしておりますから、たまたま、ん??この方たちはどなたですか?(ご相談者を視て)」

「お前は視えるのか?我の前に居る人を」

「視えております。ナンカボヤーと視えております」

「この方々は加奈子の息子さんとお嫁さんだ」

「えっ、子供さんですか」

「そうだ。子供さんだ」

「わっ、ナンカ子供さんの前でナンカ悪い事を云いましたねーわたし、ごめんなさいねー」

「そうか、お前が憑いた時にはそのようにしていると云う事だな」

「そうそう、さようです。ですけど、皆ある程度知っている筈ですよ。ですから、このアネキは記憶が無くなるから、時々“あらっ、私何をしていたのかなっ、あらっ、何をしているのかなぁ”とか云っておりますよ」

「そうか、それもお前が憑いた時にやっていると云う事だな」

「そ、そうです。そしてわたし、可哀そうだけど、このアネキを苦しめて記憶がないようにして、結局は皆から捨てられて、そしてわたしがここで孤独で一人で死んで逝ったように、このアネキも一人で死んで逝くように仕向けているんです。まぁ私が一番しているのは、この女が皆から嫌われて疎まれるようにしています」

「そうか、良く分かった」

この少女が云う事は、最初に憑いていた怨霊が疲れて離れると、その隙に入ると云う事を云っているのである。

怨霊も長く憑いていると憑かれるのだ。

長くとは云っても向こうでは、ほんの一、二時間程度であると思われるが、その一時間が人間界に換算すると何十年にも亘る。

離れるとは云っても、或いは数分単位かも分からない。

それでも人間界からすると数年は離れた事になる。



<時々訳の分からない事を云う時がありますねー>

とご相談者は云う。



「おい、聞こえていたか?(ご相談者との会話)」

「聞こえていましたけど、あなた様はどなたですか?」

「我はなぁ、上を視るがいい」

「うえ?わわっ、マブシイ!!これがもうわたしを追いかけて来るんですよ」

やはり逃げていたのだ。

「それが我じゃ」

「ええええっ、なな、ナニオされている方ですか」

「ナニオされているのではない。我は神じゃ」

「カカ、カミ?おかみさまですか?」

「そうじゃ、知っているのか、神を」

「いや、知らないんで、わたし学校に逝ってないんで、わたし勉強をしていないので知らない!」

「お前は両親を知っているのか?」

「わたしのおとうやおかぁは・・・・わたしが気が付いた時から人に貰われていたもんですから両親の顔も知りません」

「そうか、ではお前を上にあげてやろう、そうすれば体も治る。そして上で楽しく遊べばいい」

「そ、そんな事が出来るのですか?わたしと、誰か、誰か遊ぶ人なんか居るんですか?」

「そうだ、上にあがると居るのだ。では、今から上にあげてやろう」

「うう・・・ほんとうですか?神様、ありがとうございます。お願いします」

「よし、待っておれ・・・・・・・・そこに居るのか?」

「こ、ここにおりますけど寝ていてもいいでしょうか?」

「おう、寝ていても構わない。お前が気が付いた時は人がいっぱいおるぞ」

「ああ、ありが・・・・・アアアアアアアアア、ワアアアアアアアア///////////////////////////////」

と叫びながら上に昇って逝った。



今回、お母さんの頭を壁に打ち付ける、と云う内容のご相談は、やはり前世の因縁が絡んでいた。

最初の怨霊、人買いの作用だったのだ。

が、この事についてはお母さんもナニカの作用では、と思っていたようである。

更に詐欺師のように人を騙すようにも仕向け、そして最後は苦しんで死ぬようにしている、とも云っていた。

次に出たのが、七歳ぐらいの時に亡くなった女の子の怨念であった。

この子供は孤独で寂しく死んで逝った為、同じように前世のアネキ、お母さんも孤独で寂しく死ぬよう、更に浮浪者だった時の記憶を蘇らせ、体中を痛く、ガタガタ震えさせる、皆から疎まれるように、等の作用を起こしていた、と云う。

これで、お母さんを悩ませていた前世の因縁、心の襞に棲みついていた過去の亡霊は全て居なくなった、と云う事は、前世の柵も全てなくなったと云う事である。

今後、速やかなご健康の回復と、ご長寿をご期待したい。



さて、次はご相談者ご自身

“腎臓に石が有り衝撃波治療をしたがどうにもならず、と云う問題と、疲れやすい”と云う事に関し、霊的作用との因果関係はあるのか?を確かめなくてはならない。

それには、お名前を拝見し霊的エネルギーの有無を確認する事である。

お名前を拝見すると、やはり霊的エネルギーが出ている。

と云う事は衝撃波治療の後、あまり芳しくなく疲れやすいと云うのも霊的作用が関係していると言うのだろうか?

がエネルギーが出ているからと云って単純に全て霊的作用と決めつける訳にはいかない。

何せ人間は生身の体、霊的作用の有無に関係なく、ある程度、齢を重ねる事により、どこかこっかは悪くなるようになっている。

霊的作用ではなく、齢から来る病ならば病院で適した治療を受ける事により早期回復が見込まれる筈である。

だが、霊的作用による病の発症であれば、如何なる治療や高価な薬を、たとえ長期間服用しようとも、それ程の回復は望めない。

いや、回復どころではなく、悪くなるケースの方が多々ある。

要するに注射や薬が効かなくなるのだ。

さて、ではご相談者のお名前から出ているエネルギーの主が腎臓内の石や体の疲れ等に関わりがあるのか、私の中に呼び込み、その事を聞きただしてみる事にしよう。

「小石ジンゾウ、入って来い、小石ジンゾウ入って来い!」

と呼ぶとナニカが私の呼びかけに応じ入って来た。

「お前は、小石ジンゾウか?」

と聞くが

「・・・・・・・・・」

応答がない。

仕方なく、躊躇する間もなく両手を頭上に掲げる。

すると、両手の動きに反射したかのように

「ウウ、ウワーゥ!!ヤヤヤ、ヤメテ!グッワ、アアアアッー」

と悲鳴があがる。

「お前は大げさだな」

「オオゲサではありませんよ。ああ、アタマがチチワレタ!ナナナ、ナンデスカ、これは?」

「これはなんだ、ではないのじゃ。小石ジンゾウを呼んだらお前が出てきたのだろう」

「えっ、ワタシ、わたしが出た?」

「そうだろうが、小石を呼んだらお前が出てきたのだろう」

「あっ!さようで、さようでございま・・・あああ、あなた様は、どちらから話されているのでしょうか?ああ、頭の中がガンガンガンガンして」

「お前の頭の上をみよ」

「あたまのうえ?ウワッ!ここ、これがもう、カミナリが私の頭に落ちまして」

「カミナリではない。それが我なのじゃ」

「ああっ、アナタサマがカミナリ様でしょうか?」

「カミナリではない。我は神じゃ」

「カミ?カカカカ、わわ、私の頭の中で喋っているのは、アナタ、あなた様でございますか?」

「さようじゃ、お前は我の声が頭の中で聞こえるのか」

「さようです。頭の中がガンガンガンガン、ああっ、クワバラ、クワバラ、クワバラ、おお、おたすけくださいませ。かか、カミサマ、カミサマ」

「よし、では今から我の質問に応えれば助けてやる。分かったか」

「わわ、わかりました。かみさま、かみさま、なんなりと、何なりとお聞きくださいませ?」

「よし、ではお前の前世の仕事から聞こう。お前は前世では何をしていたのだ」

「わわ、わたしは、学者ございました」

「なに、お前は学者だったのか」

「そうそう、さようでございます」

「城内の学者だったのか」

「さ、さようでございます。一応、私の父親がお城のご家老様をやっておりましたのでございます。私は、小さな頃から学問が好きで、ずーっと学問の道に入って、学者をやっておりました」

「そうか、では、この小石ジンゾウは何をしていたのだ」

「小石は、これも学者でございます」

「なに、小石も学者だったのか」

「さようでございます」

「では、お前はこの小石を良く知っているのか?」

「よ、良く知っております。私は小さい時からこの男とは仲が良かったものでございますから」

「そうだったのか。では性格は良く知っているのだな。その性格をいってみるがいい」

「こいつの性格でございますか?」

「そうだ」

「こいつは、性格と云うよりも、自分の性格を出さないのですよ。普段はいっつも、こいつは本ばかり読んで、話しかけてもにこにこして愛嬌だけ“うんうん、そうそう”とか云いながら本を読んで、どっかこっか遊びに逝くんですけど、小さい頃ですから、私なんかのお屋敷の近くには川があったり山があったり、色んなところがあったのですが、何時もこいつは本か何かを持っていかないと寂しいのでしょう。小さい時から目が悪く、いっつも本を抱えて、川に遊に逝っても本を抱えて、川に遊びに逝って本を持って“お前、川に来てまでなんで本を持つのか?”と云えば“いえ、ナンカ持たんと寂しいので。私は本が好きですから、いっつも本ばかり持っているもんですから”と、性格と云ったら何と云うのか、こんな真面目な、真面目と云うんですかねー、こんな勉強好きなヤツがおるんだろうか?とそして、こいつはあまり人の事を、殆ど云わないんですよ」

「そうか、分かった。少しまて」



今、喋っている事(本が好きで真面目)は如何ですか?とご相談者に。

すると<・・・・・・?>

考えているのか無言。

あたっていないですか?

<あまりあたっていないですねー>

あたっていないと云う事ですねー。

では此れから続きを話させますからお聞きください。



「おい、では、このジンゾウは何時も本を持って歩いていたと云う事だな」

「そうそう、さようでございます」

「では、なんでそのようなやつに殺されたのだ」

「こ、殺されたと云うより、私、こいつに騙されたのでございます」

「騙されたと云う事はどういう事なのだ」

「いえ、話せば長くなるのですが、こいつの父上もやはりご家老様だったのでございます。そして、こいつのお屋敷と私のお屋敷はわりと離れているのですが、それでも私なんかはお互いのお屋敷を走って行き来し、遊んでいたのです。だから、いっつも、子供の時は本当に皆から“お前たち兄弟みたいだなぁ”と云われるぐらい仲が良かったのです。で、これもやはり頭が良かったものですから、私と一緒に学問の勉強をしていたのです。で、剣の道場にも通ったり、学問所にも逝ったりして、そして私がお城に初めて上がったのが10・・・6,7だったと想います。多分、16ぐらいの時にあがって、こいつも16の時にあがって、それからお城で、お師匠さんから学問を習っていた分けですけど、私とこいつは、その習っている皆の中でも一、二を争うぐらい成績が良かったのです。頭が良かったのです。で私が18,9の時に、私のお師匠さんから、お師匠さんの娘さんとの結婚の話が来たのです。その時に、こいつも、その娘さんを可愛く想っていたのですよ。で、私がこいつに“おい、私は、あのお師匠さんの娘さんと一緒になる事になったぞ”と云ったら“えっ、そうかぁ”と云いながら後は知らない顔をして本を読みながら歩いていたのですよ。それで、こいつ、本当に面白くねえヤツやのう。人が、師匠のあんな可愛い娘と一緒になると云うのに、普通だったら“えっー”とか云うのに、こいつはなーにもないような顔をして、結局私が云っても驚きもしない、自分には関係ないよ、と云うような顔をして去るのですよ。それで私が、私のお父上に、この結婚の話をもっと進めて頂くようにお話したら父上も“そうやのう、あそこのお嬢さんなら家柄も合うし、お前とも合うだろう”と云う事を云っていたのですよ。そして、ある時、学問所でこいつと合った時、こいつが“お前の事をお嬢さんは嫌っているようだな”と云ったんですよ。ですから私“なにを馬鹿な事を云っている。お前なんでそんな事を云う”と云ったら“いやいや、私はお嬢さんから直接聞いたんだよ。なんか、お前はしつこいような事をいっていたぞ”と“何がしつこい、そんな分けがあるか!ある訳ない。ぜんぜんしつこくないよ。結婚するまで楽しみにしているのに“と云ったら”あのお嬢さんはお前との結婚をなかった事にしようと、お師匠さんに云っているようだ“と”えっそんな事はないよーう“と私、ビックリして家に帰ってお父上に”お師匠さんの娘さんが私との結婚をない事にしようと云っているらしい“と云ったら父上もビックリして、お父上はすぐさまお師匠さんの家まで逝きお話をされたのです。で、帰って来て”馬鹿、お前のう、そんな事はない。誰がそんな事を云ったのだ“と云われるから、私が、あいつが云ったんですよ、と云ったら”あいつが、そんな事を云うかのーう?それは違うと向こうの人もビックリしていたぞ。うーん、そんな事を云うとか信じられないのうー“と、私父上からその事を聞いてビックリして、そして私、こいつに会ったのですよ。そしたら、こいつが”あらっ、そんな事を云ったかなぁ?“ととぼけるのですよ、こいつ。まぁ私、初めて想いましたよ私、小さい時からほんと、なんかぜんぜん癖のないヤツだなぁと想っていたけど、こいつ、平気で自分の為には嘘をつくのだなぁと、それからと云うのは私はこいつを全く信用しなくなったのですよ。そうしたらこいつも私の傍には全然来なくなった。ところがこいつ、普段は酒を全く呑まないのですよこれは。本当に何か、学者様様と云うような顔をして歩くのですよ。酒なんか全く呑まない。それが私に”久しぶりに会ったからどこかで酒でも呑むか“ちゅうから私”そうだなぁ、酒でも頂くか“と、そこでお茶屋に逝ってお酒を頂いたのですよ。そして帰る時に、まぁ楽しかったから”おい、お前、楽しかったのう、またちょくちょく会うか“と云ったら”そうだなぁ、ちょくちょく会おう“と云ってその時は帰ったのですよ。そして、また何日かしてお城で会った時に”また、今日呑むか“と云う事になりまして、一緒に呑んで帰る時に、私とこいつのお屋敷は大分離れているのですが、お互いのお屋敷への逝き帰りには林の中のような小道を通るのです。で、お互いが左右の別れ道に来た時に、おかしなことに”今日、お前のお父上にご挨拶がしたいのだ。一緒にいいかのう“と云うから”おう、それはいいが、なぜお前がわしの父親に挨拶をするのだ?“と云うと”いやいや、私の父親からお前の父親に言伝があるのじゃ“と云われ”そうか、なら良いよ。憑いてこい“と云って私、酔ってフラフラしながら歩いていたんですよ。そしたら、こいつが、あのうなんと云うんですかねー、あのう、こう林があって少し薄暗い場所があるんですよ。そこに逝ったら”おっ、こりゃナンカ?“ちゅうからね、私ね”おっ何があるんか“ちゅうたら”お前、ちょっと来てみよ“ちゅうから、ポット私、逝ったんですよ。そしたら、こいつ私の頭をガーン!と殴ったんですよ」

「なに、突然殴られたのか」

「そうそう、私騙されたんですよこいつに。何もないのに騙して私の頭を石でガンガン殴って、私クヤシクテ悔しくて、殴り殺されて気が付いたらこっちに来ていたんですよ。もう私、寒くて、寒くて」

「では、お前が殺されたのは冬だったのか?」

「さ、さようで、いきなり、ここに何かあるぞ!ちゅて私、こう頭を下げたもんですから、頭、ガンガンガンガン殴られて、もう今、頭の中からナンカ出ているような感じで、もうイタクテイタクテしょうがない。そして、寒くてサムクテ、今ももう、寒くてサムクテ、ガタガタガタガ震えているのですよ」

「そうか、それでお前は、この男を殺したいほど憎んでいるのだな」

「殺したいほど悔しいと云うより、私騙されたから、もう頭が痛い時には、こいつに対する恨みが、もうハラワタガ煮えくり返るほど、もう煮えくり返っておりますが、もう絶対、この男はまともな死に方はさせんぞ!絶対、こいつは人間界で同じ道は歩ませんぞ!とですから、こいつが、私なんかが生きている時代には、こいつは何時も勉強勉強と、勉強をしておりましたが、私は、今度は逆に”勉強が嫌いになれ!嫌いになれ!“と云って、時々勉強をさせるのですよ。勉強をさせたり、させなかったり、するとこいつは周りのものから”あいつ、なんか出来ると想ったらそんなに大した事はないなぁー、だけど、出来ると想えば出来ないし、あいつどうなっているのかなぁ?“と、ですから、こいつ、自分自身でも勉強する時、やる気が出る時と出ないときがある、なでかなぁ〜?だけどナンカやる時には割と上手くいくのだが、だけど其れから先は全くうまくいかないなぁー?なんでかなぁー、俺は勉強が好きなのか、嫌いなのか?全然自分では分からないなぁー、俺の人生はどうなっているのか?”と、私がこいつを、何時も夢の中に入っている状態にしていますから、こいつはいっつも同じところをグルグル回っているのですよ。そして思考、考える部分も、いっつもあっちの事を考えたり、こっちの事を考えたり、同じことばっかり考えたり、で結局、こいつは何かするにしても安まるところがない。もうずーっと立ち止まったままになるのです。ですから、こいつ人間界でも、やっぱし“あいつ出来るのか、出来ないのかサッパリ分からん?だけど、あいつに任せたらいつまで経っても何も出来ないし、何か、あいつは良く分からんなぁ、あいつの性格は?”と皆から怪訝そうに想われておりますよ。ですから私は、こいつをそう云う精神状態にして、どんどん悩ませてやろうと、悩ませておりますよ」

「そうか、ではその他にはどのような事をしているのだ」

「ほかに?他には私、私の頭がガンガンガンガン、石で殴られてガンガンガンガンする時には、こいつの頭もガンガンして、そして何時もこいつは“目が、目が視えない?あらっ、目がチカチカする。ナンカ目がチカチカするなぁ”と私、石で頭を殴られた時、目がチカチカして、そしてチカチカしながらこっちに来たもんですから、こいつも何かあったら“あっ、なんか目がチカチカするなぁ”と良く云っていますよ。自分でも“あっ、目が疲れているのかなぁ、なでかなぁー”とか云っていますよ」

「よし、分かった。ではその事をお聞きしてみよう」

「あっ、分かりました」



今、喋っている事に対しては如何ですか?とご相談者に

<うーん、後半の部分が少しあっているみたい。ところどころ納得するとこがありました。半分ぐらい認めます>

では、後の半分は認めないと云う事ですねー

<うん、前半のところは全く違う>

前半とは子供の頃の事でしょうか

<はい・・・>

子供の頃は本が大変好きで何時も本を抱えていたと云うところですね

<はい(自分の子供の頃と違う)>

だけど、それはこの男(怨霊)が云うように、逆に勉強をさせたり、させなかったりしていた、と、それは分かりますか?

<うーん、それは合っています>

では、お話の内容が合っていると云う事に関してはお認めになると云う事ですね。

では、この怨霊があなたに憑いているものであるとお認めになりますか

<はい、認めます>

と云う事で、怨霊が喋った復讐に対し最終的にはご本人は納得されたようだ。



「おい、後はどのような事をしているのだ」

「あ、後ですか?」

「そうだ、後はどのような事をしているのだ。ところで、お前を殺した相手がここにいるのだがお前は視えているのか?」

「視えると云うより、なんかここに(私の中に入って喋っているが、向こう側からすると怨霊の棲む林で喋っている事になる)、私の前にポッカリ穴が開いているんです。ここから視ると、何か似たような顔ですけど、こんなおっさんは知りませんよ。(ご相談者)」

「こんなおっさんは知りませんと云うが、お前が殺された時の相手は幾つぐらいだったのか」

「私が、殺されたのは10・・・うーん、7,8ですから、その時私を殺したやつは同じぐらいですから、まだ顔は・・・ちょっと待って下さいね。顔は〜(丸い穴から覗いている)あっ、カオは、顔?あらっ、輪郭は似ているなぁ、だけど、これは、これはなんか、こいつのお父上様に良く似ていますねー」

「なに、ジンゾウの父親に似ていると云うのか?」

「そ、さようでございます。お父上がこんな感じでございましたねー」

「馬鹿、これは本人なのだ。これがジンゾウなのだ」

「えっ・・・?こ、これが?」

「そうじゃ。お前は殺されてどのぐらい経つのだ」

「私が殺されたのは、この前の寒かった時ですから、あっ、私云うのを忘れていましたけど、私が、ガタガタガ震えて寒い時は、こいつも寒いのです。ですから、こいつ訳が分からない。皆が“今日は暖かいなぁ“などと云っても、こいつは寒い、寒いと想いますよ。何時も背筋がサムイ寒いと想っていますよ」

「おい、今我の前に居る方がお前を殺した相手なのだ。分かっているのか」

「わかった、という・・・か」

「お前はちょっと前に死んだ感じなのだな」

「さようでございます」

「だがなぁ、人間界からするともう2,3百年は経っているのだぞ」

「えっ、2,3百年?ご、ご冗談ばっかり」

「冗談ではない。お前は、この人間(ご相談者)に憑いているのだろう」

「さ、さようでございますか?」

「そうだ」

「うわーっ、こんなおっさん?(とり憑いた魂は前世と同じ17,8のまま。ましてや人間界の顔を視る、などと云う事は無いから驚いている)こんなおっさん?私なんか、こんなおっさに憑いている?」

「そうだ。お前が憑いているのは、お前を前世で殺した相手、それがこのヒトなのだ」

「さようですか?」

「お前はタマシイの世界なのだ」

「タマシイの世界?魂ではございませんよ私達、こっちで生きておりますから、そしてこいつをガンガンガンガン苦しめておりますから」

向こう側では自分の事を魂などとは思ってもいない。

「魂だから重なれるのだろう。ならば、お前の頭の上には紐が伸びているのか、紐を視てみろ」

「いや、私の頭の上には紐は伸びてはおりませんけど、こいつの頭の上には、ある日突然紐が出て、なんかどこに繋がっているのかと視たら、ずーっと上の方に繋がっているのですよ。ですから、こいつは、ああっ人間界に生まれたのだなぁと想ったのですよ」

「そうだろう。だが、それから、もう何十年も経っているのだ」

「いや、私なんかの世界からすると、あらっ、人間界に生まれたのは、この前だったのに、もう、こんなになるの?とそんな感じでございます」

「そうか、良し分かった。もういいだろう」

「いや、ちょっと、ちょっと」

「いや、もういい、そこに待っておれ」

「はい、分かりました」

此までの、怨霊の話を纏めると、ご相談者は前世では相当頭が良かったのだが、今生では、その良さを出せないようにしていたと云う。

今回のご相談者は、ある研究機関で働いていた、という。

前世は学者、今生では研究者。

学者と研究者の共通点は探究心であり、勉強“本”ではないだろうか。

ご本人は前世が学者だった、などと云う事は知らずに研究者となったのだろうが、それは魂が、その道を選ばせた、と云う事なのだ。

所謂、研究者としては、やる気があっても、なぜか壁が出来、思うようにはいかない。

常に挫折を味わっていた、と云う事になるのではないだろうか。

だが、それは誰のせいでもない。前世で自分が犯した過ち、因果応報だったのである。



「おい、今も頭が痛いのだろう」

「ああっ、頭が痛い!」

「よし、では今から我がその痛みをとってやる」

「さ、さようで、治して頂けたら最高です」

「おい、居るのか?」

「ああっ、アタマガイタイ!頭がイタイのですよ!頭がチチワレル!」

「よーし、待て、直ぐ治してやるから」

「ああーっ、おねがいしますおねがいしま・・・・・アアアアアアア、アワワワワワワ///////////////aa-uuuuuu,アウワーッーーーーーアウッ!」

頭が痛い、頭が痛いと訴えていたが、話の途中で最後の叫びを残して上に昇って逝った。

途中とは云っても、私が上にあがる両手の動きをしていたからではあるが。

だが、腎臓の事を聞くのを忘れていた。

あまりにも激しく喋るため、ただ聞き役となってしまい忘れたのだ。

しかし、これで前世の因縁からの厄は終わった。

ご相談者には大変失礼な事と思われるが、怨霊が一人だけと云うのも意外だった。

と云うのも、此れまで当方にお見えになられた、前世で侍だったと云う方には大体数怨は憑いていたからだ。

やはり真面目な学者だった為、人との揉め事があまりなかったのではないだろうか。

また、腎臓に石が出来ると云うのも今のところ霊的作用との因果関係は見つかってはいない。

しかし、体の疲れや術後の回復が遅れる、などは霊的作用の一端ではないかと思われる。

それに、霊的作用に侵されている人と侵されていない人とでは病の進行に格段の差が出るのは確かである。

また今後、ご相談者の体調を注視していくと云うのも怨霊を除けたものとしては、ある程度、今後の為にも必要な事ではないだろうか。

霊的作用と病との関係として。



さて、次は”パーキンソン病で治療を受けていますが、最近腰が曲がり杖か歩行器を使用しています”と云う奥さんについて前世の因縁を調べてみよう。

メールを頂いた後日、当心霊なんでも相談室にお二人でお見えになられた。

その時は、てっきりご主人がお母さんをお連れしてきたものとばかり思っていた。

そして、お二人がソファーに座られ、お互いご挨拶を交わした時に、ご相談者のご主人から“妻”です。

と改めてご紹介を受けた。

その時初めて“えっ、奥さん”だったのか?と唖然とした。

それほど、失礼だとは思うがお年を召されているように思われた。

お二人を入り口でお迎えし、ソファーまでの、ほんの数歩だが、その歩いている姿がまるでお年寄りだったのである。

小さな細い体で、上半身は前かがみに腰を曲げ、頭には白髪が目立ち、足を引きずるように小股で、ゆっくりと入られたのだ。

その、お姿だけ見れば、誰が見てもご老人としか思えないだろう。

”妻です“とご紹介されたのを受け、初めてお顔を拝見し、目と目が合ったのだ。

すると、奥さんはご老人のようにお顔を突き出すようにしてご挨拶を返してくれた。

お顔を突き出す、と記したが、そうではなく腰が曲がっている為、前かがみにならざるを得ないのである。

お顔を拝見して“あっ、確かに若い”あっ、奥さんだったのか、と納得した。

お顔は年相応なのに、此れほどお姿との釣り合いが取れないお方は珍しいのではないだろうか。

なぜ、此処まで、と怪訝に思うのは私だけだろうか?

これも、前世の因縁 が作用しているのでは、と疑われる案件だが、此れほど腰を曲げ老人のように仕向けてしまうとは、余程の恨みがあるのだろう。

或いは、腰の曲がった老人が直接憑依している為に、同じようなお姿になった可能性も否めない。

先ずはともあれ、お名前を呼び、奥さんの魂を私の中に呼び込んでみよう。

万一、奥さんの魂に憑依しているものが居れば、それが先に入ってくる。

後は、入って来た魂を厳しく詰問すればいい。

そうする事により前世の因果が全て白日の下に晒され老人化した原因も解明されると云う事になる。

では奥さんのお名前を呼び、奥さんに憑いているであろう前世の因縁を呼び込むとしよう。

「越野マガリ、入って来い!越野マガリ入って来い!」と呼ぶ。

と、直ぐに入って来た。

入っては来たが私の質問には知らぬふりをする。

そこで、前回と同じように両手を頭上に翳す。

と瞬時に悲鳴に似た声を上げる。

「ウウウッ、ヤメヤメ、ヤメテクダサイ、ヤメテクレヤメテクレヤメテクレ、ヤメテクレ〜」

「止めているではないか!」

既に念は止めているのに茶化すかのような言動。

「ウーッ、ウーンン、くソ〜〜〜クヤシイ〜」

「何が悔しいのだ」

「クヤシイ!!クヤシ〜〜ククク」

「我が何も言わないうちに悔しがるな!」

「わわ、わたしはころされて〜苦しんでいるのに、またこれは、ナンカ、カミナリのようなものをオトサレテ、もう〜、わたしは踏んだり蹴ったりじゃ、もうクヤシイ〜〜」

「そうか、お前は前世では何をしていたのだ。我はそれを聞きたいのじゃ」

「わ、わたしは飲み屋の女将でございました」

「では、お前は女だったのか」

「さようでございます。のの、飲み屋のオカミでございました」

「おい、お前が憑いている、このマガリは何をしていたのだ」

「こいつは、私のところで働いていた女でございますよ」

「お前のところで働いていたのか」

「さようでございます」

「それは幾つの時だ」

「これは、まだ15,6だったと想います」

「このマガリの家は何をしていたのだ」

「こいつの家は、ナント云うのか、父親が魚を獲って、まぁ母親と婆さんたちが百姓をしておりましたねー」

「では、このマガリの家は海の近くだったのか」

「さようでございます。どうしてあなた様はわたしに、そのような事を聞くのですか?あなた様はどなた様ですか?」

「お前の頭の上をみよ」

「アタマ?ああっ!このなんか、私の頭にゴーンと落ちてきてからもう〜〜、クヤシイたらありゃせん。殺された上にこんなことされて」

私の口を曲げて喋るからくぐもった声になる。

「それが我じゃ」

「うわーっ!あなたサマ、あなた様がどうして私をイジメル、イジメルのですか?」

[お前を苛めているのではないだろう。マガリを呼んだらお前が出てきたのだろう]

「わたしが、マガリをよんだら?あっ、わたし、ざわざわして、誰かが呼んでいるような感じがしたからわたし、私は誰が呼んでいるのかなぁと想って出てみたら突然雷がグックッと来て、頭に来て、もう何がなんか分からんで、もう戸惑っておりました」

「そうか、我がお前に何かを聞こうとして声を掛けたのに知らぬふりをしていたからだ」

「と、とんでもございません。わたし、こいつではございませんから、何が何か分かりませんから、ポカーンとしていただけでございます」

「そうだったのか。ところでお前は、このマガリに殺されたのか?」

「ここ、コロサレタんですよこいつに。もうむちゃくちゃにやられたんで、こいつがもうー、顔はねー、まーるい顔をしてねー、か、可愛いのですよ。せ、セイカクもねー、要するにこいつねー、わりと頭が良かったんですねー、あのう、家の父親が漁師で、百姓と漁師のうーん、娘でございますが、まぁ村ではねー、こいつあ、頭が良かったんですよ。ナンカ学問はないのですけどねー、わたしな んかの世界は学問なんか関係ないですから、ジ、字はこいつ読めていたんですよ。だから村では“あいつ学問はないけど字だけは読めるから、あいつ、頭がいいのうー”ちゅて云っていたんですよ。でわたし、私のところで働き手がなかったもんですから、こいつに“ちょっと手伝ってくれー“ちゅうたら、こいつにこにこしてから”いいよー、おばちゃん手伝うよー“と云うんですよ」

「その時、お前は幾つだったのか」

「私は、もう40過ぎで、腰も曲がってしもうて、もうー、や、やっと酒をついでお客さんに呑ませるような感じでしたから」

「おい、お前は腰が曲がっていたのか」

「さ、さようで、今も、あっー、腰がいとうて、いとうてもうー、腰が曲がって、手、手は震えてしもうてー、ナンカ、みんなから”お前、チュウブか“ち云われ、わたし、チュウブで倒れたんですよ。〔昔、脳卒中は中気(ちゅうき)とか中風(ちゅうぶ)と呼ばれ、人々から不治の病として 恐れられていた。中気の『気』は、体の内部環境のようなもので、中気は、気が当たって 倒れる病とされていた。ヤフー検索〕そして気が付いたら、もう腰は曲がって、こう手は震え、もうどうしようもならんやったから、誰か雇う人がいないといけないと云う事で、こいつを雇ったんですよ。そうしたら、最初はにこにこ笑って本当に愛嬌が良かったのです。だが、こいつはコッロと性格が変わるのですよ。だから、良い時と悪い時は手の平を返したようになって、もう悪い時は何を云っても”ブスッ“として、もう、しらーんと云う顔をして、もうその時の態度がニクイ!憎いちゅうたらなんちゅうか、もうほんと、にこにこ笑っている時は可愛い、可愛いですよ。ポッとなった時はもう、全く顔色まで変わるんですよ。こどものくせーにしてー、わたしは、ほんともう、それでこいつが怒った時はもうー知らん顔をしているんですよ」

「そうか、では少し待っておれ」



如何ですか?と奥さんに

≪アッハハハハ、あっています。あっています≫

私の手も貴女と同じように震えているのですよ。

と私の手を前に出すと私の手も奥さんと同じように震えている。(手の震えは中風の特徴でもある)



「おい、お前の目の前(怨霊の棲む林の中)にポッカリと穴が開いているだろう。そこから、ここは覗けないか?」

怨霊の居る前に、当相談所(人間界)が覗けるように穴を開けている。

「あっ、視えますけど、これは誰ですか?」

「これは、お前を殺した女だ」

「えっ、こげなぁばあさんじゃなかったですよ。わたし、私、こいつに殺された時は、こいつまだ顔がまん丸で小さい。なにせ可愛い女の子だったし、ばあさんじゃないですか(奥さん)、わたしと同じぐらいの年の、私と同じぐらいの年ですねー」

「そうか、だがこのヒトはお前を殺した後、死んでまた人間界に生まれ変わり、年をとったのだ」

「ささ、さようで、こいつに!こいつにわたし復讐をしていたんですか?」

あの世は浦島太郎の世界。

こちらでは2,3百年経っていても、向こうでは殆ど時間が経っていない。

殺された時と同じ状態。

「そうだ、お前が復讐をしているのだろ。復讐はどのような事をしているのだ」

「フクシュウと云うよりわたしね、こいつに殺された時の事をお話しますよ。わたしね、普段はね、こいつととっても仲がいいんですよ。お客さんも“お前たちは本当の親子みたいじゃのうー”と云われるぐらい仲が良かったんですよ。でわたしが疲れた、と云ったらこいつが肩を揉んでくれたりねー、腰をポンポン叩いてくれて“おばあちゃん、手が震えて大変やねー”ちゅうて、私がさげものすると“ばあちゃん、あんた横になっときよ、私がするから”ち、ほんとねー気が利いて良い時はいいんです。ところがねー、もうちょっと、ある時にはねー、もうー客からシリをポット触られただけでもう、手の平を返して、ころーっと“ナニすんのようーー!!”ちお客にどなりつける。とお客はビックリして“わわわわっ!!ナンジャッ!この女はーー”そうしたら“ドケーッー!!ドケーッー!!”ちゅうてそらーもう、大変な気性ですよ。普通この顔からそんな事を云えるなんか想いませんよ。そのまま皆帰るんです。皆、ビックリして引いてしまいますよ。で、そん時はもうスーット帰ってしまうのです。で、もう2,3日は出てきませんよ。出てきた時には何時もの顔ですよ。可愛い顔をして“ばあちゃん、今日も私が頑張るからゆっくりしといていいよー”ち、うっふふ、可愛い顔をして云うんですよ。そうか、わしはちょっと横になるから“ああっー、ばあちゃん、横になっときよ”と、そしたら、こいつね、不思議な事にね、盗み酒をするんです。盗み酒を。で、私は知らなかったけどねー、ちょっろと視たらねー盗み酒をしとるんですねー。へっ、そして私は、その、そんな事は云わないでもいいわっ、と想って知らないふりをしとったんです。だけど、こいつ仕事する時に、なんかかんかブツブツ一人で云いながらするもんですから、“お前のう、そんなに仕事をする時にブツブツ言っちゃいかん。仕事をする時にはにこにこ笑っておけ”て云ったら“笑っているよー”とそう云いながら、その時また、ギャーッと“うるさーい!!”と云いそんまま帰ってしまった。もう、此れほど手の焼いた女はおりませんよ。普通の女とは違うんですから、これは。もう手を焼く女です。もう一筋縄ではいかん!そして、また2,3日してきたら普通通りにこにこ笑って、そしてその時もねーー、もうちょっとした事や、その事で、こいつがもう怒って、客がいない時、私の腰が曲がっているのをドーン!!と私の背中を、そして私をひっくり返した!!わたしは、入り口までドドーン!!と滑り、そしたらこいつ、足でわたしを蹴り上げるんですよ。ガンガンガンガン、アググッ、わたしは、ウーワッ!!頭から顔から腰から、グウウウッ、グワーッたたたたた、と云っているうちに、気が付いたらこっちに居るのですよ。私、気が付いたらこっちに、わたし良く考えたら、あいつに殺されたのじゃ!殺されたんじゃと想って、わたしは、こいつを探しに逝って(怨霊の棲む上の方)、そして、こいつを捕まえて復讐をしておりますよ」

「そうか、では少し待っておれ」



今、このおばあさんが云った事に対しては如何ですか?

≪その場でしたら激しく怒れないです。多分私は我慢する方で・・・・≫

いや、我慢をさせられているのですよ

≪は、はぁ≫

もし、怒ればまた、何が起こるか分からないからです。

怨霊から復讐を受けている時は前世の性格をそのまま出すことができない。

それは前世の所業が原因で魂が甚振(いたぶ)られ、苦しい目に合わされているからである。

また、魂の恐怖、想いが脳裏に焼き付いているからでもある。

故に、怒りを出すこと自体に恐怖を感じるのだ。



「おい、では復讐はどのようにしているのだ」

「フクシュウは、こいつはにこにこ笑って人を斬る、と云うのは昔の侍でございましたよー。にこにこ笑って人を斬る。こいつはにこにこ笑って鬼になるのですよ。こいつはにこにこ笑ってオニになる。そして私を殺したんですよ。ですから、こいつは今、今でも時々オニにさせておりますよ。そうしたら、こいつは鬼になるのが怖いのですよ。自分の正体を視られるのが怖いんです。ですから、ガマン、ガマン、我慢とかしております。ところが無意識のうちにこいつは鬼に変わるのですよ。その時のこいつの形相は大変なものですよ。私と一緒になって、わたしも鬼になって、こいつも鬼になってグワーーッと云うんですから、こいつに云われたものは、もう“こいつは、キチガイだ、キチガイ”だと皆後ずさりをしておりますよ。ですから、こいつに関わるものは、こいつを視ると“あれはおかしい?キチガイじゃ、キチガイじゃー”と陰口をたたかれ、そして、こいつは自分が発狂をする。そうしたらまた“どうして私はまた?これからはもう絶対出さない!絶対ださない”と何時も心に言い聞かせておりますが、私がそれを繰り返させているのです。先ほどの事を聞いておりました。これ“今私は我慢するほうで”などと云おりますが、それは自分自身が我慢していると想っているだけで、他の人から視ると違うのです。嘘じゃないんです。隣の人に聞いてもらったら良く分かりますよ」

「よし、分かった。では、聞いてみよう」



如何ですか?ご主人

<その通りです>

≪うん、後から云ったのは、その通りです≫

と奥さんもお認めになった。

初めは、奥さんは我慢している、と云ったが、それは違うと怨霊は言い返す。



「おい、お前の云った事を隣の人はお認めになったぞ。隣に居る方は旦那さんじゃ」

「そうそう、さようでございましょ。わたしがしているんでウッヒヒヒヒ・・・エヘヘヘ私がしているんですから。こいつ、地獄に引きずり込んでやる。ワハハハハ・・・・ヒキズリコンデヤル!そして、こいつ、私と同じようにヨイヨイ(中風)でございますよ。ワハハハハハわたしが、ヨイヨイにしたんですよ。ウハハハハ、しかし、ビックリしたなぁ、こいつの顔、これが本当にあの時のムスメ?」

「おい、お前は殺されてどのぐらい経つのだ」

「わたし、殺されたのは?もーう、うんちょっと前ですよ。まだ、体中が痛いんですから」

「そうか、だけどなぁ、もう人間界では2,3百年は経っているのだ」

「そ、そんなご冗談を」

「ご冗談ではない。ムスメの顔を視たら分かるだろう。この顔が17に視えるか」

「いえ、これで、これで同じ顔ですか?」

「よく、視てみろ!」

「あらっ、同じ顔だが、私よりばあさんだわーっ」

「バアサン、それはお前がしているのだろう。ヨイヨイに」

「ヨイヨイヨイヨイですから、これ今、ヨイヨイで“私、どうしてこんな事になった、これ病気?ビョウキ、私、もうこんなに年を取って、ビョウキ”と云って何時もこいつは悩んでおりますよ。そりゃそうやろう、こんだけの顔になったら、もう病気と想うしか、全部わたしがしとるんでワハハハハァですから歩くのも横にヒョロヒョロヒョロ、わたしが歩くときにも、モノを持たずにヒョロヒョロ歩いていたのでこいつも同じようにした、しております。ウハハハハハ、そしてこいつは、自分で自分をどんどん責めて、そして皆から相手にされなくなって、一人で孤独に、孤独になってこっちに来るようにするんでワハハハこっちに来たら地獄に落してやるんでワハハハハ」

「そうか、お前にちょっと聞きたいのだが、お前が捕まえているやつは頭に紐は伸びているか?」

「ええ、頭に紐が伸びているんですよ。この紐が伸びたら人間界に、なんか生まれた、とか云うんですよ」

「だから、その紐が伸びているのが本物で、人間界に居るのがニセモノなのか?どちらが本物なのだ。お前にそれは分かるのか、どうだ云ってみよ」

「わたしなんかからしたら、これ(魂)が本物でございますよ」

「そうか、ではそのニンゲンを苦しめている時には、お前は人間界の事は視えているのか?」

「私がニンゲンカイ、人間界など視たくもないですよ」

「では、今、お前の居るところの景色を云ってみよ」

「私のケシキ?ここは山の中でございますよ。血の匂いがしてから、もう首の無いものやら手の無いものがウロウロウロウロしていますよ」

「では、今お前が捕まえている紐の伸びているもの(奥さんの魂)はどのような状態になっているのだ」

「どんなジョウタイ?わたしと、同じような状態ですよ。わたしとこいつは重なっていますから同じ状態になっていますよ」

「そうか、ではお前は人間界を覗くと云う事はないと云う事だな」

「に、ニンゲンカイを覗いてなんの?人間界などカンケイない!こいつを苦しめてウッ、アタマが痛い!のう」

「そうか、よく分かった。ところで、この女に憑いているのは、お前以外に誰か居るのか?」

「こいつには、まだいっぱい居るのですよ」

「なに、いっぱい居るのか。なぜお前は分かるのだ?」

「なぜ、ちゅうより、なんかそこをちょろちょろしているので、なんか男が居るねー、皆なんか毒を呑まされたのか知らないけど、口から血を吐いてねー、なんかのたうち回っておりますよー」

「そうか、よし、それでは今からお前のヨイヨイを治して上にあげてやる」

「えっ、上に?上にあげてもらえるのですか?」

「そうだ、上にあげてやるのだ。お前は殺されて苦しんで来たのだろうから」

「えっ、そのような、ありがとうございます・・・・・アアアアアアアアア////////////ウウウウウウウ、グギャギャギャギャ、アアアアアア・・・・」

と叫び声をあげていたが......途切れた。

終わった。

ヨイヨイのおばあさんはワハハハハと良く笑っていた(クヤシ笑い)が上にあがって逝った。

やはり、奥さんの腰の曲がり、手の震えは前世の因縁が作用していた。

前世で、おばあさんを蹴り殺していた、その祟りでおばあさんと同じようにヨイヨイにされ、老けさせられていたのだ。

以前にも、同じように手が震える24,5歳の青年がお見えになった事がある。

その方は手の震えだけではなく、口も引きつった状態で話もろくにできなかった。

そして、20の頃から勃起不能になっていたと云う。

その青年にも前世の因縁、中風の老婆が憑いていたのだ。

その老婆によると“同じようにしたのだ”と私の手を震わせながら云っていた。

勃起不能となった原因は、前世で殺害していた少女にあった。

少女を暴行し殺害に及んでいた為、その少女の呪いで勃起不能とされていたのだ。

が勃起不能とされていたのは、この青年だけではない。

まだ他にも、当方にお見えになった方の中でお二人いた。

この方々も前世で数人の少女を暴行殺害していたのだ。

恨みの怖さ、前世で犯した悪行が、今生にて祟りとして償わされる結果なのである。

老婆を除けて半年も過ぎるころには、青年の口の引きつりや手の震えも治まり普通の状態に戻っていた。

が、さすがに下の事に付いては触れるのを躊躇った。

それ故、その後の事は定かではない。

そして、その数か月後、また、何かおかしいのですが?と青年から連絡が入る。

そこで、再び魂を私の中に呼び込み調べてみる。

と、なんと地獄の淵で屯する化け物の餌食となっていた。

青年の魂は、怨霊から解放された時に、直ぐ怨霊の棲み家から離れれば良かったのだが、そうはいかず怨霊の林を徘徊するうちに間違って地獄の淵に落ちてしまったのだ。

そして、そこで、あろう事か化け物にとり憑かれてしまったのだ。

だが、私は、化け物の存在を確認し、躊躇する事なく一喝した。

すると化け物はビックリして咥えていた魂を離したのだ。

その隙に、すぐさま青年の魂を私の中に呼び込み天国の入り口まで引き上げた。

地獄の淵には、大蛇や、体中毛だらけの動物のようなものや、大入道、白い着物で髪を腰までたらした顔の無い妖怪などがいた。

私が退治しただけでも此れほどものがいたのだ。

が、これらの化け物だけではなく、まだまだ未知のモノが多く屯しているのではないだろうか。

地獄の淵に落ちていた青年は前世、侍で多<の人々を殺めていた。

その呪いでインポになり中風のような状態となり、仕事も出来ないようにされていたのだ。

輪廻転生で得たものは命だけではなかった。

罪も引き継いでいたのだ。

今回の、ご相談者であらせられる、ご主人やお母様、当方にて怨霊を除けた皆様方の魂も、今後、何時地獄の淵に迷い込まないとも限らない。

が注意したくとも何せ魂の世界、視えない世界の事である。

残念な事に、各人では為す術がないと云うのが本音である。

私としては、ただ、ご無事に怨霊の林から抜け出る事をご期待するだけである。



さて、次は、まだまだ奥さんに憑いていると云う、次のものを呼び出してみよう。

再び、奥さんのお名前を呼び憑いているであろう前世の因縁、怨霊を私の中に呼び込む。

「越野マガリ入って来い!越野マガリ入って来い!」

と呼ぶが、やはり入っては来ない。

警戒して、奥さんの魂を捕まえたまま林の中を逃げているのだ。

だが、私は捕まえるまで呼び続ける。

すると、渋渋ながら入って来た。

入って来た来たものに

「おい、お前は越野マガリか?」

と聞くが、無視。

しようがない、可哀そうだとは思うが両手を頭上に掲げる。

すると、不思議な事に何の返答もない。

相当の衝撃を受けている筈なのに、返答どころか音もあげない。

多分、歯を食いしばって(歯があるのかは不明)耐えているのであろうが、此れほど我慢できる怨霊も珍しい。

中々の根性もんのようである。

それでも、音をあげるまで容赦する事は無い。

と「ウーウ、ウーウッ、タタタタタ、タスケテ!」

とうとう耐えられなくなったのだ、音を上げた。

そこで

「お前は中々根性があるではないか」

と褒めると。

「タタタ、タスケテクダサイ。もうがまんができない!できません。ああーっ」

と褒めた途端、叫び声をあげる。

そこで

「お前は、前世では仕事は何をしていたのだ」

と聞くと

「わわ、私は、百姓でございます」

「百姓か、マガリを呼んだのになぜ、お前が出てきたのだ?お前が憑いていると云う事なのか」

「憑いていると云うより、私殺れたもんですから、恨みがあって憑いているのでございます」

「そうか、殺されたのか」

「コ、コロサレタ!」

「お前は、このマガリを良く知っているのか」

「知っていると云うより私の女房だったのですよ、こいつは」

「なに、お前の女房だったのか」

「さ、さようでございます」

「では、性格は良く知っているのだな」

「セイカク?性格は良く知っておりますよ」

「では、先ず、その性格を聞きたい。お前が本当にマガリの夫だったのか確認したいのだ」

「わわ、分かりました。ところであなた様はどこから私に話しかけているのですか?」

「お前の頭の上をみるがいい」

「ああ、あたまの上?ウワーッ!!こ、これがもうマブシクテ、頭にガンガン来て、タタ」

「それが我じゃ」

「あ、あなた様、お光様ですか?」

「そうじゃ、ヒカリじゃ」

「ささ、それ・・・なんで私呼ばれたのでしょう?」

「だから先ほどから云っているであろう。マガリを呼んだらお前が出てきたのだ」

「うわーっ、そうそう、マガリを呼んだらわたし?ああっ、そうだったんですかねー」

「そうだ、だからお前と話をしているのだ」

「私、神様とお話する立場になるとは考えても居りませんでした」

「では、これから聞くことに応えるがいい」

「ああ、分かりました」

「先ほど聞いたようにマガリの性格を云うがいい」

「セイカク、これはですねー、パット視はねー、愛嬌はいいんですよ。可愛い顔をしているんですよこれ。いつも私にねー“あんたー、あんたー”ちゅうてねー、いつも甘えてきてたんですよー、それで私、百姓ですから、こいつの家も百姓ですからねー、で、一緒になるか?と云って一緒になったのですけど」

「おい、お前がマガリと一緒になったのは幾つの時だ」

「私が18でこいつが、うん?10・・・私より一個上のあねさん女房だったのですよ」

「そうか、姉さん女房だったのか」

「さようでございます。で一緒になって、一緒になった時、こいつねー」

「おい、ちょっと聞きたいが、お前が一緒になった時は、この女は飲み屋で働いていたのではなかったのか?」

「えっ、のみや?、あっ、飲み屋のばあさんとこですか」

「お、お前は知っているのか」

「いえいえ、知っておりますよ、皆、知っておりますよ。あのばあさんがなんか、客に蹴り殺されたちゅうて、こいつ云っておりましたよ」

「なに、このマガリがそう云ったのか。蹴り殺されたと」

「そうでございますよ。蹴り殺されて、あのう身内が居なかったもんですから私ら、村のもんが山に連れて行って焼いてあげたんですよ」

「おう、そうだったのか」

「その時マガリが、あっ、、そうそう、こいつがなんか、ばあさんのところに働きに逝っていて、そして、自分が休んで、次の日逝ってみたら、なんか入り口のところで倒れて死んでいたと云っておりましたよ」

「そう云ったのか、良く分かった。ではマガリの性格を云ってみよ」

「いや、だから性格と云うのは、もう一緒になるまでは“あんた、あんた”ち私に懐いていたんですけど、一緒になったら、あんた、あんたどころではない、いつもプスーと向こうを向いて、私が“おーい、お前こっちに来い”ちゅうたら、機嫌がいい時には“ああっ、どうしたん、あんた、あんたあそこに逝って、あれ貰ってこんといけんよ。またごはん食べるものがないからわたしは山に逝くから”と良く話をするのですが、これがもう、プスッともう腹をかいたら“おーい”ちゅうたって知らん顔をですよ。これの性格と云ったらまぁ、此れほどころころ変わるのは居らないんじゃないかと、もうほんとにもう、自分の身勝手と云うか、なんちゅうか自分の気分次第でころころ変わるのですよ性格が。要するににこにこ笑っていると想ったら、コロット手の平を返したようになるから、手が付けられない女ですよ。そのくせ夜が好きなんですよこいつはウフフフフこんな事カミサマ、いや、こんな色んな事神様の前で云ってシツレイ、いやいや、もうほんとの事を喋れと神様が云うから、好きなんですよこれが、だから私も大変でしたよ」

「よし、分かった。少し待っておれ」



奥さん、大変失礼ですが、今この男が喋った事に心辺りはありますか?

≪うーん、性格がころころ変わるのは当たっています≫と。



「おい、お前はどのようにして殺されたのだ」

「私が殺されたのは、私こいつを殴ったのですよ。あまりこいつが手の平を返<したようになるもんだから、クソッと想って殴って蹴り上げたんですよ。その翌日、こいつもう私が殴ったから怖かったのでしょう。こんどはにこにこ云いながら“今から私、山にイモ堀に逝ってくるから、もうちょっとご飯待っててよ”ちゅうから、待っていたんですよ。そして、夜になってもなかなか帰って来ないから、どうしたのかのう〜と、ちょうど冬だったのですよ。でどうした事かのう〜と考えていたら、帰って来てなんか、籠になんかいっぱいなんか、喰えるものを詰めておりましたよ。鍋にしょうかね〜ちゅうて、鍋にして喰ったのはいいが、もう十口もいかん二、三口食べたらグウッ、ウオッ、オエーッちなってもう、そのまま、もうこっちにグエッ、ウッウウ(吐きだす)」

「おい、たった二口で効くような毒があるのか」

「どくがあると云うよりもう、一口、二口、二口でウオーッと、もう、もう、のたうち回ってこっちに来ましたよ。もう、気が付いたらここ(怨霊の林)に居りましたよ。で良く考えたら、あいつ毒をドク、今ももう、くく、クルシクテ、もう体中が震えておりますよ今も」

「なに、体が震えているのか?」

「ク、クルシクテ!クワーッググッグ(死後も苦しみは続く)く、クチカラ血、チ、チ、チが」

「今でも血を吐いていると言うのか」

「アウッ、ウウッグワッ」

「苦しそうだなぁ大丈夫か、話せるか?ところで復讐はどのようにしているのだ」

「フ、フ、フ、コヤツハ呪われている****のろ*****ノロワレタ人生を、おくらせてオリマスヨ。フアアアアア、アッ(笑う)、ウマレタトキカラ、コヤツハノロワレタ人生****わたしが、のろってオリマス、ヒヒヒヒ……..ヒヒヒヒッ、コヤツノ人生は自分で“ナンデノワレタノウー私は〜わたしには、ナニカゆうれいがツイテイルのかなぁ〜〜ダレガツイテイルノカナ〜〜わたしは、呪われたジンセイ”と呪われた人生。いつもこいつは“ワタシはノロワレタじんせい、ノロワレタじんせいー”とアハハハハハ、カオはひきつりカラダジュウはガタガタで、口からモドスワ、下からモドスワ、モドスものがなくなれば下から血をハク!ワタシガクルシン、アハハハハで来た通りの事を、こいつは自分の呪われた人生を、ノロワレタジンセイを」



如何ですか、今喋っていた事は分かりますか?

≪分かります(奥さん)≫

では、もうこれ以上話をさせるのは止めましょう。(声色になり話をさせる事に躊躇する)



「おい、お前は今も苦しいのか?」

「クルシイ!ノロワレタジンセイ、コヤツハ、コイツオノロイコロスのですよ。ミクザシタカラ、血ダラケニシテヤリマス*****」

「そうか・・・よし、先ずそなたの苦しみを解いてキズを治す。そして楽にしてやる」

「ラクニ?コヤツオ地獄のクルシミにサラスノガワタシノ望みデスヨ!!ヒャクショウの意地デスヨ!」

「よし分かった。良く分かった。しかし、お前がそれほど苦しんでいるのなら復讐も出来ないだろう。だからお前を楽にして復讐をさせてやる」

「サ、サヨウデゴザイマスカ?神様、わたし復讐を続けてもいいので」

「そうだ、復讐を続けても良い。それには先ず体を治さなくてはなぁ。口から血の泡を噴いているのだろう。そこに座っておれ!」

「ワ、ワカリマシタ、神様アリガトウゴザイマス、アリガトウゴザイマス、ありがとうありがアアアアアア//////////////uawuawuawa〜〜〜〜〜〜アーッア」

・・・・・・・・・・・・・終わった。

しかし、凄い喋り方だった。

これが本当に呪った相手に吐く怨霊の喋り方なのか。

私の口を捩じらせて喋る。

恐るべし、怨念!!

最後に、私が復讐を続けても良いと許したのは、キズが治り上にあがると此れまでの殺された記憶、苦しみ、恨みなど全てが消てしまうからである。

だが、これで奥さんの前世の罪は全て終わったと云う訳ではない。

次を呼び出すと、また私の中に入って来た。

なんとまだ居たのだ。

後、何人憑いているのだろうか?と思う程に。

“まだまだいっぱい居る“と最初の怨霊、ばあちゃんが云っていた通りになった。

がここでご主人とお話をして、今奥さんの魂はどこでどのようになっているのか、を先ず調べ、その後隠れているであろう怨霊に対処する事にした。

それをやるには、今私の中に入っている怨霊を、一喝して除け、その隙に奥さんの魂を私の中に呼び込むしかない。

一喝するとビックリして捕まえている奥さんの魂を離す。

その瞬間に奥さんのお名前を呼び、魂を私の中に呼び込むのだ。

と云う事で

『ドケッ!!』

と大声でどなる。

そして、すかさず奥さんのお名前を呼ぶ。

「越野マガリ入って来い!越野マガリ入って来い!」

とナニカが入って来た。

「タタタ、タスケテーーーー」

と云って奥さんの魂が入って来たのだ。

「おい、そこはどのようなところだ」

と先ず、魂の居場所を聞く。

「コココ、マママ、マックラ、タタタ、タスケテ〜」

今、居る場所は真っ暗闇の中だと。

「お前の足元には何があるのだ。云ってみよ」

足元を聞くのは、足元がどうなっているか、でそこが何処なのか、の見当をつけるため。

「あしもとは、ヌルヌルしてもう気持ちが悪い!!体中が痒くて、痒くてどうにもならない!!タスケテー!早くタスケテ〜」

足元がヌルヌルするとは血だまりの中のようだ。

と、すると、そこは地獄の淵ではないか。

既に地獄の淵に首を吊られて落とされているのだ。

「よし、分かった。では、そこから助けてやう!誰が助けるのか分かっているのか。お前のご主人だぞ」

「あああ〜たすけて〜〜たすけて〜〜」

「よし、今から引き上げてやるから、待っておれ」

「アアアア〜〜〜タスケテ〜〜タスケテ〜〜!!」

「待て、慌てるな!」

と云い、天国の入り口まで急遽引き上げる事になった。

そして、即座に引き上げる動作に入る。

と「ウワーッ、ギャギャギャギャ////////////////////////////_______ウッワ______ググググッグ_______あっ、はぁっはぁっ」

初めは激しい声をあげていたが最後は静かにため息を吐く。

そして天国の入り口に着いたのか

「そこはどこだ?」

と聞くと

「いえ?あらっ、あらっ、ここはどこ?ここは」

「そこはどのようなところだ。云ってみよ。お前が視えるものを全て喋ってみよ」

「ここ、ここはなんか明るい!なにか匂いが、匂いが違う?血の匂いがしない」

地獄の匂い

「血の匂いはしないだろう。首に縄が付いているか触ってみよ」

「首の縄?あらっ、あらら、クビが、首の縄が無い」

「手も動くだろう」

「テ、テ、あっ手も動く、ここはどこ?どこ?わっ、キレーイ!キレーイなとこ、わたし、夢をみている?ユメオみている。ナニ、ここの明るさは!ああーっ、綺麗やなぁ〜、そ、空が青々、うわーっ、風が気持ちがいい!!なに?この匂いは、ああ、甘い匂い!う、うわーっ、お花畑!わたし、死んだのかなぁ、ユメユメ、ああっ、コワイ、怖い、わたし、夢を視ている、コワイ、怖い!!」

「それは夢ではないのだ。お前は天国に入ったのだ」

「てんごく?こわい、コワイ、クビガ、クビガ」

突然、このような明るい場所に来たため夢をみて、まだ地獄の淵で首を吊られていると錯覚しているのだ。

「首がではない、首にはもう何も付いていないのだ」

「あっ、ほんとうに?いや、これはユメ、ユメ夢、これは絶対ユメユメ夢・・・・ゆゆ、ゆるしてください。誰か〜ダレカー!」

「誰かーと叫んでも、誰もそこには居ないのじゃ。そこは神の国だ。神の国に入ったのじゃ。だから安心せー!」

「わーっ、あんしんなんか、あんしんなんか、あんしんなんか・・・あんしん?ここはどこ?わたし、これは夢じゃないんですか?」

「そうだ、そこは夢ではないのだ。落ち着いて良くみるがいい」

「ああっ、ではわたし、なんでここに居るのですか?わたし、真っ暗なところに、マックラなところに、くく、クビを吊られて、血の匂いかなんか、体中肉の腐ったような匂いが、あの匂いが体中に纏わり付いていて気持ちが悪い!足や手が、体中がムズムズしてもう、気持ちが悪かった。ここは何?なんでこんなところに私が居るの?草が綺麗だなぁ、ここの草は、あーっ、ここで横になりたい!横になって寝たら、私目が醒める?ああっ、寝たらコワイ!寝たらこわい!」

「もう怖くはないのじゃ。寝ても大丈夫じゃ。安心して休むがいい。そこは天国なのじゃ」

「いやいやいや、コワイ、コワイ!ナニ!これ?」

「そこには何があるのだ?喋ってみよ」

「なにが?と云っても私、夢をみているかも知れない。夢でもいいですか?」

「おう、夢でも良いから何でも視えるものを喋ってみよ」

「なんかここはお花がいっぱい!私、お花畑の中に居る。ナンカもの凄く匂いがいい!そして、微風と云うんですか、私の体にスーット吹いて、そして上を視ると真っ白の、真っ白の雲が、あ〜あんなに空が青い。うわ〜キレイ!!もういい!もういい!これで私、何時死んでもいい、ああっ、これでもう私、何時死んでもいい」

長い間、闇の中で甚振られていたため、現状が認識できないでいる。

「何時死んでもいいではない!そこは天国なのじゃ」

「 あああ・・・・」

「いいか、もう夢ではない、お前は助かったのじゃ。お前の旦那さんに感謝するのじゃ、良いか」

「私、じゃぁここに横になっても、横になっても・・・・目は瞑りませんから」

「もう目を瞑っても構わない。夢ではないのじゃ」

「いや、怖いから、怖いから」

と幾ら夢ではないと云っても“夢だ”と思い込み安心できないでいる。

それはそうだろう、長い間、と云うか人間界に生まれる前から闇の中で苦しめられていたのだ。

それが突然天国まで昇ったのだ。

一旦、地獄に落ちると二度と上に這いあがる事などは出来ない世界で、それを信用しなさい、と云うほうが無理があるのではないだろうか。

慣れるまで、現状を認識するまでには、まだかなり時間を要するだろう。

だが、やはり地獄の淵に落とされていた。

ご主人と先にお話をした事が功を奏したのだ。

そして救う事も出来た。

だが、前世であれほどの殺戮(怨霊の多さから推測)を犯したものが良くもまぁ、今生にて、此れほどに優しいご主人と巡り合えたものだ。

これは奇跡だ、と云っても過言ではないだろう。

そして、全て終わった安堵の中、奥さんがなぜかスッと立ち上がった。

これまでまともに立つことも出来なかったのに、と俄かには信じられない態で驚いておられた。

そして翌日お電話が入る。

「昨日、先生の部屋では立てたのに相談所を出た後、直ぐに腰が曲がり、また元に戻ったのですが?」と。

そこで奥さんの魂を私の中に呼び込み聞くと

「怖いのです。誰かに視られたら、また捕まり地獄に落されるのでは、と想いここで丸くなってみつからないように隠れているのです」と云う。

魂が恐怖のあまり丸くなって隠れていると云うのだ。

その魂の想いが人間の肉体に現れ背を伸ばす事が出来なかったのである。

魂の想い、恐怖がそのまま人間に反映されたものだったのだ。

しかし、此れほどの怨霊に呪われていたとは、此れまでの奥さんの人生は口に出すのも憚れるような、事の他壮絶なものではなかったのだろうか。

しかし、これで全て終わった。

最初に憑いていた腰の曲がったヨイヨイのおばあさんの霊も上に昇って逝った。

前世のご主人も消えた。

これで今後、腰の曲がりや手の震え、老人化したお体も治り同年代の方々と同じようになられる事だろう。

また、全ての怨念からも解放された。

後は、一日も早く天国の生活に慣れる事ではないだろうか。

が暫くはフラッシュバックに悩まされる事になる。

が、一年も経てば過去の記憶(地獄の恐怖)も全て忘れ、新たな天国の暮らしにも慣れ、心に平穏が訪れるであろう。

そして、年相応の丸い可愛いお顔に戻られるのではないだろうか。


 完
 


最後までお読み頂き有難うございました。

今回、メール文章の掲載を快くご承諾して頂いた、ご相談者のご主人、並びにお母様、奥様には大変有難く感謝致します。

また、更に厚かましいお願いですが、出来ましたら、霊的作用の無くなった後のお体の状態をメールでお知らせ願えたら幸いです。今後の参考にさせて頂きたく存じます。

有難うございました。

戻る
トップページ
inserted by FC2 system